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研修後に配属が決まるけど大丈夫?これって不法就労?!注意が必要なケース

例えば、こんなことはないでしょうか。


新卒で採用した外国籍社員を、日本人社員と同様に「総合職」として一括で採用。入社後、まずは3ヶ月から6ヶ月程度の研修期間を設け、社会人マナーや各部署の業務内容を学んでもらう。その研修期間中の本人の希望や適性、成績などを考慮して、最終的な配属先(例:人事部、経理部、営業部、あるいは工場の生産管理部門など)を正式に決定する、という育成フローをとっている。


それって実は不法就労の可能性があります。


この日本企業で一般的な「総合職採用・配属先後決め」の方式は、外国籍社員の採用においては重大な不法就労リスクを内包しています。在留資格(特に「技術・人文知識・国際業務」)は、申請時点で提出された雇用契約書や職務内容説明書に基づき、「これからこのような専門的業務に従事する」という前提で許可が下ります 。   


つまり、在留資格を申請する際には、配属後の具体的な業務内容を明記する必要があるのです。例えば、「経理業務」に従事するとして在留資格を取得したにもかかわらず、研修後の配属先が「工場のラインでの作業」や「店舗での接客」といった単純労働になった場合、それは許可された活動範囲からの完全な逸脱であり、明確な不法就労となります 。   


また、同じ専門職の範囲内であっても、例えば「翻訳業務」で申請したのに、配属が本人の専門と全く関係のない「人事採用業務」になった場合なども、活動内容の齟齬を指摘され、将来のビザ更新で問題となる可能性があります。企業側は良かれと思って適性を見た結果でも、入管法の観点からは「申請内容と実態が異なる」と判断されかねないのです 。   



不法就労を防ぐためには


外国籍社員の採用と配属においては、日本的な雇用慣行を見直し、在留資格制度に合わせたプロセスを構築する必要があります。

  1. 採用時点での職務内容の特定: 外国籍社員については、「総合職」という曖昧な形での採用は避けるべきです。採用選考の段階で、本人をどの部署でどのような専門的業務に従事させるのかを具体的に決定します。


  2. 申請書類と実態の一致: 在留資格の申請時には、配属が確定している部署での具体的な職務内容を記載した雇用契約書や採用理由書を提出します。そして、入社後もその申請内容に沿った業務に確実につかせることが絶対条件です。


  3. 研修内容の適正化: 入社後の研修は、あくまで申請した専門業務を遂行するために必要な知識やスキルを習得するためのものと位置づけます。研修計画書を作成し、その目的と内容、期間を明確にします 。研修の一環として様々な部署を経験させる場合でも、単純労働がメインになったり、当初申請した職務と全く関係のない部署に最終配属されたりすることがないように、厳格に管理する必要があります。   


柔軟な人材育成は重要ですが、外国籍社員に関しては、在留資格という法的制約が最優先されます。採用の入口段階で職務を特定することが、企業と社員双方を不法就労のリスクから守る鍵となります。

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