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【入管調査第3部】緊急事態編:予告なし!恐怖の「抜き打ち調査」にどう立ち向かうか


何の予告もなく、オフィスのドアがノックされる。そこに立っているのは、身分証を提示する入管の職員──。 これこそが、最も恐れられている「抜き打ち調査」です。証拠隠滅の恐れがあるなど、重大な疑義を持たれている場合に行われることが多く、対応を一つ間違えれば、在留資格の取消しや退去強制に直結しかねない、まさに緊急事態です。

この最終章では、パニック状態に陥りがちなこの状況で、自分自身と会社の未来を守るために、どう立ち向かうべきかを解説します。


なぜ「抜き打ち」なのか?


入管が事前通知なしで調査に来るのには、明確な理由があります。

  • 重大な違反の疑い:偽装結婚や不法就労など、悪質性が高いと判断されている。

  • 信憑性の高い情報提供:内部告発や匿名の通報があり、その内容が具体的で信憑性が高い。

  • 証拠隠滅の恐れ:事前に通知すると、タイムカードや賃金台帳などの書類を改ざんされたり、関係者が口裏合わせをしたりする恐れがあると判断されている。

抜き打ち調査は、入管が「本気で証拠を探しに来ている」サインなのです。


緊急時に取るべき4つの行動


突然の事態に頭が真っ白になるかもしれませんが、以下の行動を冷静に実行してください。

行動1:相手の身分と権限を確認する まず、相手の身分証明書の提示を求め、氏名と所属を確認しましょう。そして、調査の根拠が「出入国管理及び難民認定法第五十九条の二に基づく事実の調査」であることを確認します 。これはあなたの権利です。   


行動2:「専門家を呼びます」と明確に伝える これが最も重要な行動です。「顧問の行政書士(または弁護士)に連絡しますので、到着するまで少しお待ちいただけますか」と、はっきりと伝えましょう。専門家が到着する前に、不利な質問に答えたり、書類にサインしたりする必要はありません。法的に保障されたあなたの権利です 。   


行動3:安易な回答や書類への署名は絶対にしない 職員はその場で質問をし、あなたの回答を「調書」という公式な文書にまとめようとします。内容をよく理解しないまま、あるいはプレッシャーに負けて事実に反する内容の調書に署名してしまうと、それが後から覆すことのできない不利な証拠となります。専門家が来るまでは、署名は絶対にしてはいけません。

行動4:敵対せず、協力的な姿勢を見せる 権利を主張しつつも、調査を妨害したり、職員に対して攻撃的な態度を取ったりするのは逆効果です。あくまで「法律に則って、専門家を交えて誠実に対応させていただきます」という協力的な姿勢を保ちましょう。


日頃からの備えが最大の防御


抜き打ち調査という緊急事態を乗り切るためには、結局のところ日頃からの備えがすべてです。

  • 書類の整理・保管:いつ見られても問題ないように、賃金台帳や出勤簿などの法定帳簿は正確に記録・保管しておく。

  • コンプライアンス遵守:在留資格で許可された範囲の業務を徹底する。

  • 頼れる専門家を見つけておく:緊急事態になってから探すのでは遅すぎます。平時から信頼できる行政書士や弁護士を見つけ、関係を築いておくことが最大のお守りになります。


シリーズ全体のまとめ


3回にわたり、入管の「事実の調査」について解説してきました。 調査は怖いものですが、その根底にあるのは「あなたが申請通り、誠実に日本で活動しているか」という一点です。日々の誠実な在留活動と、それを証明する記録の保管、そして万が一の際にあなたを守ってくれる専門家の存在。この3つが、あなたの日本でのキャリアと生活を守るための最も強力な武器となるのです。


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