【入管関連ニュース】要注意!?技人国の派遣は大丈夫?入管庁が実態把握へ。派遣会社と受け入れ企業が知るべきこと
- takeshi kawamoto
- 8月18日
- 読了時間: 3分
更新日:8月21日
在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)を持つ外国人材を、派遣社員として受け入れている企業の皆様、そして送り出している人材派遣会社の皆様。今、その運用方法に大きな注目が集まっています。
共同通信の報道によると、出入国在留管理庁(入管庁)が、「技人国」の在留資格を持つ外国人の派遣労働に関する実態調査に乗り出す方針を固めたとのことです。
これは、一部で専門知識を必要としない「単純労働」に従事させられているケースが問題視されているためです。本記事では、このニュースのポイントと、関係企業が今後注意すべき点について解説します。
「技人国」派遣労働の現地調査が始まります
今回の入管庁の方針で最も重要なのは、実態を把握するために現地調査も辞さないという点です。
これまでも書類上での審査は行われてきましたが、今後は派遣先企業に赴き、実際にどのような業務に従事しているのかを直接確認する動きが本格化する可能性があります。
なぜ今、調査が強化されるのか?
背景には、「技人国」の在留資格が許可されているにもかかわらず、実際には工場のライン作業などの単純労働に従事させられている外国人が増えているという問題があります。これは、在留資格制度の趣旨を揺るしかねない深刻な事態であり、入管庁が看過できない状況になっていることの表れと言えるでしょう。
外国人派遣で最も注意すべき「在留資格と業務内容のミスマッチ」
今回の問題の核心は、在留資格が許可された活動内容と、実際の業務内容が一致していない、いわゆる「不法就労」にあたるリスクです。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、大学で学んだ専門知識や実務経験を活かした、いわゆるホワイトカラー向けの専門職に与えられるものです。
【具体的な業務例】
技術: SE、プログラマー、設計開発など
人文知識: 企画、営業、マーケティング、経理など
国際業務: 翻訳、通訳、語学指導、海外取引業務など
一方で、以下のような単純労働と見なされる業務は、原則として認められていません。
【認められない業務例】
工場のライン作業
建設現場での肉体労働
清掃作業
レストランの配膳・皿洗い
もし、派遣先の企業が「技人国」の外国人にこれらの単純労働をさせていた場合、それは在留資格の範囲を逸脱した活動となります。この責任は、外国人本人だけでなく、指示をした受け入れ企業や、雇用契約を結んでいる人材派遣会社にも問われる可能性があります。
今後の規制強化は必至か?有識者会議で本格的な議論へ
入管庁は、今回の実態調査で得られた結果をもとに、専門家を交えた有識者会議で本格的な議論を開始するとしています。
この会議では、現在の派遣労働における課題点が洗い出され、今後の対策が検討されることになります。考えられる今後の展開としては、
在留資格の審査の厳格化
派遣労働に関する新たなガイドラインの策定
違反した企業に対する罰則の強化
などが挙げられます。
「今まで大丈夫だったから」という考えは、もはや通用しなくなるかもしれません。問題が表面化し、規制が強化される前に、自社の受け入れ体制や派遣状況が適正であるかを見直すことが、今まさに求められています。
今すぐ自社の状況を確認しましょう
今回の入管庁の方針は、外国人材の適正な就労環境を守ると同時に、制度を悪用する企業を許さないという強い意志の表れです。
人材派遣会社の皆様は、派遣先での業務内容を契約書だけでなく、実態として正確に把握することが不可欠です。また、外国人材を受け入れている企業の皆様も、任せている業務が在留資格の範囲内であるか、改めて確認することが急務となります。
今後の正式な発表を待つのではなく、今このタイミングで自社のコンプライアンス体制を見直しましょう。
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