「企業内転勤2号完全ガイド」第10回:【応用編】「企業内転勤2号」成功の鍵はインターンシップにあり!特定活動9号との比較で学ぶ計画の重要性
- takeshi kawamoto
- 7月31日
- 読了時間: 3分
「企業内転勤2号」は、海外拠点の従業員を日本で育成するための制度ですが、その本質を理解する上で非常に参考になる在留資格があります。それは、海外の大学生を受け入れるための「特定活動9号(インターンシップ)」ビザです。どちらも「技能の習得」を目的とし、単なる労働力の確保ではない点が共通しています 。
この最終回では、両者を比較することで、「企業内転勤2号」を成功させるために不可欠な「計画性」と「指導体制」の重要性を明らかにします。
「育成」を目的とする2つの制度 「企業内転勤2号」と「インターンシップ」は、対象者や前提条件は異なりますが、制度の根底にある思想は酷似しています。それは、受入れが「教育・育成」の機会でなければならず、その証明として詳細な計画と、それを実行する体制が求められるという点です 。
以下の比較表は、両制度の要件がいかに似通っているかを示しています。
項目 | 企業内転勤2号 | 特定活動9号(インターンシップ) |
主目的 | 企業内での技能習得 | 大学の教育課程の一環としての実務経験 |
対象者 | 海外関連会社の従業員 | 海外大学の在学生(18歳以上) |
前提条件 | 1年以上の海外関連会社での勤務経験 | 海外大学の正規課程に在学中 |
滞在期間 | 有期的(通算1年が検討中) | 1年以内、かつ大学修業年限の1/2以内 |
活動の根拠 | 日本法人と海外法人の企業内異動 | 海外大学と日本企業の契約 |
活動内容 | 育成計画に基づくOJT・現場作業(単純労働は不可) | 専攻と関連する実務(単純作業は対象外) |
学業との関連 | 不要 | 必須(単位取得など) |
最重要書類 | 育成計画書 | インターンシップ計画書 |
指導体制 | 育成責任者・指導員の配置 | インターンシップ責任者・指導員の選任 |
受入れ人数枠 | 常勤職員の**5%**まで(企業規模20人以上が目安) | 常勤職員数に応じた上限あり(例:100人以下は5人) |
戦略的結論:インターンシップに倣い、計画を制する者がビザを制す
この比較から導き出される結論は明確です。「企業内転勤2号」の申請を成功させるには、その準備を「インターンシップ・プログラム」の設計と同様の厳格さで行うべきだということです。
特に「育成計画書」は、申請の心臓部です。インターンシップ計画書に求められるように、以下の点を具体的に、かつ論理的に記述する必要があります 。
目標設定: いつまでに、何ができるようになるのか。
計画内容: OJTと座学を組み合わせた具体的なスケジュールと内容。
指導体制: 誰が、どのように指導し、サポートするのか。
評価方法: どのように進捗を測り、フィードバックするのか。
「企業内転勤2号」を単なる人事異動の一環と捉えるのではなく、一人の人材を育成するための体系的な教育プログラムとして位置づけ、その計画を緻密に文書化すること。それこそが、この新しい在留資格を最大限に活用し、グローバルな人材戦略を成功に導くための最も重要な鍵となるでしょう。
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