途中で業務を変更したけど大丈夫?これって不法就労?!注意が必要なケース
- takeshi kawamoto
- 7月24日
- 読了時間: 3分
例えば、こんなことはないでしょうか。
通訳担当として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用した外国籍社員が、非常に優秀で営業の才能もあることが判明した。そこで、本人のキャリアアップも考え、営業部に異動させ、新規顧客の開拓を任せることにした。同じ会社の中での異動なので、特に出入国在留管理庁への手続きは行わなかった 。
それって実は不法就労の可能性があります。
日本の在留資格制度は、「人」に対してではなく、その人が日本で行う「活動」に対して許可が与えられます。したがって、たとえ同じ会社内での異動であっても、従事する業務内容が、現在保有している在留資格で許可された活動の範囲から逸脱する場合には、問題が生じます 。
「技術・人文知識・国際業務」という一つの在留資格の中にも、「技術(理系専門職)」「人文知識(文系専門職)」「国際業務(翻訳・通訳など)」という異なる活動区分が存在します。例えば、採用時に「通訳(国際業務)」として許可を得た社員が、異動後に主として「法人営業(人文知識)」や「システム開発(技術)」に従事する場合、それは当初許可された活動とは異なる活動と見なされる可能性があります。
このような場合に、事前に必要な手続きを怠ると、在留資格外の活動を行っていることになり、不法就労と判断されるリスクがあります。その結果、将来の在留期間更新申請が不許可になったり、最悪の場合、在留資格が取り消されたりする可能性もゼロではありません 。
不法就労を防ぐためには
外国籍社員の配置転換や業務内容の変更を行う際は、以下の手続きを検討する必要があります。
業務内容の適合性確認: まず、新しい業務内容が、現在の在留資格の範囲内に含まれるかどうかを慎重に検討します。判断に迷う場合は、安易に自己判断せず、専門家(行政書士や弁護士)に相談することが賢明です。
「在留資格変更許可申請」の検討: 新しい業務が現在の在留資格の範囲外であると判断される場合は、その業務内容に適合する在留資格への「在留資格変更許可申請」を事前に行う必要があります 。例えば、「技能(調理師)」で採用したコックを、店舗マネジメント業務も行わせるために「技術・人文知識・国際業務」へ変更する、といったケースが考えられます。
「就労資格証明書」の活用: 業務内容の変更が在留資格の範囲内かどうか微妙で、確認を取りたい場合に非常に有効なのが「就労資格証明書」です。これは、転職や業務内容の変更の際に、新しい業務が現在の在留資格で問題なく行えることを出入国在留管理庁に事前に証明してもらう制度です 。この証明書を取得しておけば、企業は安心して新しい業務を任せることができ、従業員も次回の在留期間更新をスムーズに行えるという大きなメリットがあります。
社内異動は日本人従業員にとっては日常的なことですが、外国籍社員にとっては在留資格に関わる一大事になり得ます。柔軟な人材活用とコンプライアンス遵守を両立させるためにも、業務内容の変更時には必ず在留資格の観点からのチェックを忘れないでください。
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