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特定技能は技人国より下?!

更新日:7月8日

外国人の方から在留資格の申請について相談を受ける際、「特定技能は技術・人文知識・国際業務(技人国)より劣るのか?」という質問をよくいただきます。この認識には一部正しい部分もありますが、特定技能1号には独自のメリットもあり、一概に「下」とは言えません。本記事では、両者の特徴を比較しながら、特定技能1号の利点についても解説します。

1. 技術・人文知識・国際業務(技人国)の特徴

技人国は、以下のような特徴を持つ在留資格です。

  • 就労範囲: 専門的・技術的な業務(エンジニア、通訳、マーケティング、会計など)が対象

  • 学歴・職歴要件: 大学卒業(または実務経験)などの要件あり

  • 永住申請の期間計算: 在留期間が永住申請の要件となる「10年」のカウント対象

  • 家族の帯同: 配偶者や子供の帯同が可能

2. 特定技能1号の特徴

一方、特定技能1号は以下のような特徴があります。

  • 就労範囲: 介護、外食業、宿泊業、建設業などの特定14分野に限定

  • 学歴要件なし: 学歴要件がなく、技能試験や日本語試験に合格すれば申請可能

  • 永住申請の期間計算: 原則として永住の要件となる期間にはカウントされない

  • 家族の帯同: 原則不可(ただし、人道的配慮による例外あり)

  • 転職の自由度: 同じ業種内であれば比較的転職しやすい

  • 技能試験と日本語能力試験の仕組み: 技能を証明する試験があるため、特定の業務に即戦力として従事可能

3. 「特定技能1号は技人国より劣る」の誤解

上記の比較を見ると、特定技能1号には「家族の帯同不可」「永住申請の期間にカウントされない」という制約があるため、「技人国より下」と捉えられがちです。しかし、以下のようなメリットもあります。

3-1. 学歴不問でチャンスが広がる

技人国では、大学卒業や専門知識が必要ですが、特定技能1号は学歴要件がなく、試験に合格すれば資格を取得できます。そのため、より多くの外国人が日本で働く機会を得られます。

3-2. 即戦力として評価される

特定技能は「即戦力」としての評価が前提であり、業界での実務経験を積みながらキャリアアップが可能です。特定技能2号(建設・造船分野)へ移行すれば、家族帯同も可能となり、在留資格の安定性が増します。

3-3. 業種ごとのサポート体制

特定技能は国の政策として人材不足解消のために設けられており、業界団体の支援や、受入れ機関のフォロー体制が整っています。特定技能外国人に対する生活支援や日本語学習支援も充実しており、働きながら安定した生活を築くことが可能です。

3-4. 転職の自由度が高い

技人国では業務内容が厳格に定められ、転職する際には新たな企業での在留資格変更が必要になる場合があります。一方、特定技能では、同じ業種内であれば転職がしやすく、柔軟なキャリア形成が可能です。

4. まとめ

技人国と特定技能1号は、それぞれ異なる目的と特性を持つ在留資格であり、どちらが「上」「下」というものではありません。特定技能は学歴を問わず日本で働くチャンスを提供し、即戦力としての評価が高い一方、技人国は専門的な職種で安定したキャリアを築くことが可能です。

特定技能は、特に日本で働きたいが学歴要件を満たさない方や、即戦力として業界で活躍したい方にとって有益な選択肢です。在留資格を選ぶ際は、それぞれの特性を理解した上で、自身のキャリアプランに合った道を選びましょう。

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