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日本語能力試験N1でも話せない?「言葉の壁」の正体と実践的コミュニケーション術

① このようなことで困ったことはありませんか?

「日本語能力試験(JLPT)の最上級であるN1を持っているのに、会議で全く発言しない」「メールの日本語は完璧なのに、口頭での指示がうまく伝わらない」。高い日本語能力を期待して採用したはずの外国人社員との間に、なぜかコミュニケーションの壁を感じることはありませんか。このすれ違いは、業務の非効率化を招くだけでなく、本人にとっても「能力を発揮できない」というストレスの原因となります 。


② このような事が原因かも?

この問題の正体は、日本語能力試験で測れる「知識としての日本語能力」と、ビジネスの現場で求められる「実践的なコミュニケーション能力」とのギャップにあります。JLPTは主に読解や聴解の能力を測るテストであり、自分の意見を論理的に述べたり、相手の意図を汲み取って柔軟に会話したりする能力は直接問われません。さらに、日本の職場では、業界特유の専門用語や、「落としどころ」「よしなに」といった曖昧な表現、空気を読むといったハイコンテクストな文化が多用されます 3。これらは、教科書では学べない「生きた日本語」であり、N1合格者であっても、こうしたコミュニケーションスタイルに戸惑うのは当然なのです。


③ その解決方法とは

解決策は、企業側が「実践的なコミュニケーション」の場と教育・研修の機会を提供することです。まず、日本人社員側が、専門用語や曖昧な表現を避け、「やさしい日本語」で話すことを心がけましょう 。指示を出す際は、「5W1H」を明確にし、最後に相手の言葉で復唱してもらうことで、認識のズレを防げます 。また、会社負担でビジネス日本語会話の研修を提供することも非常に効果的です。ロールプレイング形式で電話応対や会議での発言を練習する機会を設けることで、知識が実践力へと変わっていきます 。何よりも大切なのは、失敗を恐れずに発言できる心理的安全性の高い職場環境を作ることです。


④ 原因と解決策のまとめ

原因

解決策

1. JLPTのスコアと実践的な会話能力は必ずしも一致しない

1. JLPTのスコアだけでなく、面接での対話を通じて実践的な能力を見極める

2. 専門用語や業界特有の言い回しが多用されている

2. 社内用語集を作成・共有し、指示は「やさしい日本語」で行う

3. 曖昧な表現や「空気を読む」文化への戸惑い

3. 指示は具体的に「5W1H」を明確にし、期待する成果を明確に伝える

4. アウトプット(話す・議論する)の練習機会が不足している

4. 会社負担でビジネス日本語会話の研修を提供し、実践の場を設ける


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