日本語レベルの謎】「日常会話レベル」の基準が曖昧で、採用後のミスマッチが怖い…
- takeshi kawamoto
- 7月9日
- 読了時間: 4分
「こんな困りごとありますよね。履歴書に書かれた『日本語:日常会話レベル』という自己申告。これを信じて採用したら、お客様への丁寧な言葉遣いができなかったり、バックヤードでの複雑な指示が理解できなかったり…。候補者と私たちが思う『日常会話』の尺度が違いすぎて、採用後の大きなギャップになってしまっている。」
この問題は、採用担当者と候補者の間で「日本語レベル」という言葉の定義が共有されていないために起こります。友人との会話のような「日常会話」と、ホテルでお客様を相手にする「業務上の会話」は全くの別物です。この認識のズレを防ぐには、「N1/N2」や「ビジネスレベル」といった曖昧なラベルで判断するのをやめ、「具体的に何ができるか(Can-do)」という業務基準の物差しを持つことが極めて重要になります。
効果的な解決方法
解決策は、まず社内で「ポジションごとに求められる日本語スキル」を具体的に定義し、共通言語化することです。「フロントスタッフなら、ここまで出来てほしい」「清掃スタッフなら、これが理解できればOK」という基準を明確にします。
その上で、選考プロセスにおいて、その「Can-do」を実際に確認できる仕組みを導入します。
レベルの定義: 「日常会話レベル」ではなく、「お客様への道案内ができる」「予約電話の応対が一人でできる」といった具体的な行動リスト(Can-doリスト)を作成します。
多角的なスキルチェック: 面接での会話だけでなく、より実践的な場面を想定したテストを取り入れます。例えば、お客様からのメールへの返信を作成してもらう簡単な筆記テストや、電話応対のロールプレイングは非常に効果的です。
入社後のフォローを前提とする: 100%完璧な人材を求めるのではなく、「現時点ではここまでできる。残りは入社後の研修でここまで伸ばそう」という視点を持つことも大切です。採用基準に「学習意欲の高さ」といったポテンシャルの項目を加えることも有効です。
こうすれば解決できる!ポジション別 日本語スキル要件定義
以下の表は、ポジションごとに求められる日本語スキルを「Can-do(できること)」形式で定義し、それを選考でどう確認するかの具体例です。これをベースに、貴社独自の基準を作成してみてください。
ポジション | 求められる日本語レベル(Can-doリストの例) | 選考での確認方法 |
フロントスタッフ | ・丁寧語、尊敬語、謙譲語を適切に使い分けられる。 ・予約受付や変更、キャンセルの電話応対が一人でできる。 ・お客様からのクレームの一次対応と、上長への正確な報告ができる。 ・周辺の観光情報や交通手段について、口頭で分かりやすく説明できる。 | 【必須】 ・接客ロールプレイング(チェックイン、予約電話など)・ケーススタディ質問(クレーム対応など) 【推奨】 ・Eメール作成テスト(お客様への案内メールなど) |
レストラン(ホール) | ・お客様から正確に注文を取ることができる。 ・メニュー内容やアレルギー情報について説明できる。 ・厨房スタッフに、お客様からの要望を正確に伝達できる。 ・お客様を席へ案内する際の、丁寧な言葉遣いができる。 | 【必須】 ・接客ロールプレイング(注文受け、メニュー説明) 【推奨】 ・簡単な漢字テスト(メニューに使われる食材名など) |
調理スタッフ(キッチン) | ・他の調理スタッフからの日本語での指示を正確に理解できる。 ・衛生管理に関するマニュアルや指示書を読んで理解できる。 ・食材の在庫状況などを、日本語で報告・相談できる。 | 【必須】 ・口頭での調理指示に対する理解度チェック 【推奨】 ・マニュアルの一部を読んでもらい、内容を質問する |
客室清掃スタッフ | ・リーダーからの清掃に関する指示(口頭・書面)を理解できる。 ・客室の不備や備品の不足について、所定のフォーマットで報告できる。 ・廊下などでお客様と会った際に、適切な挨拶ができる。 | 【必須】・具体的な清掃指示を出し、復唱してもらう。 ・簡単な報告書のサンプルを見せ、内容が理解できるか確認する。 |
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