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技能実習生が失踪する本当の理由。育成就労制度への移行前に企業がすべきこと

① このようなことで困ったことはありませんか?

「昨日まで普通に出勤していた技能実習生が、ある日突然来なくなり、連絡も取れなくなった」。いわゆる「失踪」は、技能実習生を受け入れている企業にとって最も深刻な問題の一つです。失踪が発生すると、計画が狂うだけでなく、入管への報告義務など煩雑な手続きに追われることになります。なぜ彼らは、多額の借金をしてまで来た日本から姿を消してしまうのでしょうか 。


② このような事が原因かも?

技能実習生の失踪の背景には、しばしば深刻な人権問題が隠されています。来日前に母国の送り出し機関に支払う高額な手数料や、来日後の低賃金・賃金不払い、そして長時間労働といった過酷な労働環境が、彼らを追い詰める主な原因です 。また、原則として転職が認められないという制度上の制約が、問題をさらに深刻化させています 。パワハラやいじめを受けても、借金を返すまでは辞めるに辞められず、逃げ出すしか選択肢がなくなってしまうのです。2027年から導入される新しい「育成就労制度」では、一定の条件下での転職が認められるようになり、こうした問題の改善が期待されていますが、根本的な労働環境の改善は待ったなしの課題です 。


③ その解決方法とは

企業が今すぐ取り組むべきは、自社の労働環境が法律を遵守し、人権を尊重したものになっているかを徹底的に点検することです。まず、労働基準法に基づき、最低賃金以上の給与と、残業代を1分単位で正確に支払うことを徹底しましょう 。安全衛生教育を確実に実施し、危険な作業をさせないことも重要です 。さらに、母国語で相談できる窓口を設置したり、定期的な面談を行ったりすることで、彼らが問題を一人で抱え込まないようにサポートする体制を築くことが不可欠です 。監理団体に任せきりにするのではなく、企業自身が彼らを一人の「社員」として尊重し、良好なコミュニケーションを築く努力が、失踪を防ぐ最も有効な手段となります。


④ 原因と解決策のまとめ

原因

解決策

1. 来日前の借金と、来日後の低賃金・賃金不払い

1. 最低賃金以上の給与と残業代を法律通りに正確に支払う

2. 長時間労働や危険な作業などの劣悪な労働環境

2. 労働基準法を遵守し、安全衛生管理を徹底する

3. パワハラやいじめ、孤立感

3. 母国語で相談できる窓口を設置し、定期的な面談で悩みを聞く

4. 転職ができないという制度上の閉塞感

4. 育成就労制度への移行を見据え、キャリア形成の支援や日本語教育を充実させる


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