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外国人観光客がいないホテルで「通訳・翻訳」としての在留資格申請は危険?不法就労につながるリスクを解説

更新日:2025年7月8日

日本国内のホテル業界では、外国人スタッフの採用が増えています。しかし、外国人観光客がほとんどいないホテルで「通訳・翻訳」を理由にして 「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国) の在留資格を申請するのは、不法就労につながるリスクが高い ため注意が必要です。本記事では、その理由と安全な雇用方法について解説します。

1. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件

「技人国」での就労には以下の要件を満たす必要があります。

学歴要件 or 実務経験要件

• 大学や短大、専門学校で関連分野を学んでいること

• 実務経験が10年以上ある場合(通訳・翻訳業務なら例外的に3年で可)

業務内容が「専門的・技術的」なものであること

単純労働(フロント業務、清掃、配膳、調理など)は不可

「通訳・翻訳」は、実際にその業務が発生することが条件

つまり、ホテルの業務に「通訳・翻訳」が必要であることが明確でない場合、技人国の在留資格は認められません。

2. 外国人観光客がいないホテルで「通訳・翻訳」業務が認められない理由

① 通訳・翻訳の実態がないと「偽装申請」になる

ホテルが「通訳・翻訳」を理由に外国人を採用しても、実際には外国人観光客がいないため、その業務が存在しないというケースが多くあります。この場合、入管は「通訳・翻訳業務としての実態がない」と判断し、在留資格の不許可や取り消し、場合によっては不法就労助長罪が問われる可能性があります。

② 実際の業務がフロント業務や清掃なら違法

技人国の在留資格で許可された業務が「通訳・翻訳」でも、実際にはフロントでのチェックイン・チェックアウト対応、清掃、配膳、ベッドメイキングなどを行っていると、それは 資格外活動(不法就労) になります。

例:不法就労とみなされるケース

❌「外国人向けサービスを拡充する予定」と申請 → 実際には外国人宿泊者がいない

❌「ホテルの文書を多言語化する業務」と申請 → 実際にはフロントや清掃業務をしている

→ こうしたケースでは、本人だけでなく雇用側のホテルも処罰対象になります。

3. 適法に外国人を雇用するためには?

① 「通訳・翻訳」が本当に必要な業務であることを証明する

もし外国人観光客がいなくても、以下のような明確な業務がある場合は、技人国での採用が認められる可能性があります。

海外企業とのやり取りをするホテル

• 海外法人と提携しているホテルで、契約書やメールの翻訳、会議通訳が日常的に発生する場合

インバウンド戦略を強化するホテル

• 将来的に外国人観光客の受け入れを目指し、外国語対応のウェブサイトやパンフレットを作成する計画がある場合

• 海外の旅行代理店との商談を進める必要がある場合

これらの業務が具体的に発生していることを、入管に説明できるよう準備することが必須です。

② 「特定技能(宿泊)」を活用する

もしフロント業務や清掃業務を外国人に担当させたいなら、「特定技能(宿泊)」の在留資格を活用するのが適切 です。

特定技能(宿泊)の特徴

フロント業務(チェックイン・チェックアウト対応)

接客業務(館内案内、レストラン業務など)

清掃業務

宿泊施設の管理業務

→ 技人国では認められない業務も、特定技能なら適法に就労可能。

4. 不法就労が発覚するとどうなる?

① 外国人本人への影響

在留資格の取消し(強制退去の可能性あり)

最悪の場合、5年間の入国禁止処分

② 雇用主(ホテル)のリスク

不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)

ホテルの信用失墜(許可業務の取り消し、社会的ダメージ)

➡ 知らずに不法就労させてしまっても、法律上の責任は免れません。

2. 複数店舗を運営する場合の採用ポイント

複数のコンビニ店舗(2店舗以上)を運営する法人の場合、「技人国」ビザでの外国人雇用は比較的容易に認められるケースが多いです。

🔹 「技人国」ビザ取得のポイント(複数店舗運営)

本社・本部機能を持つ場合

マーケティングや店舗運営戦略を担当するポジションであれば、技人国ビザが取得しやすい。

• 例)市場分析、SNSマーケティング、外国人顧客向けメニュー開発など

外国人スタッフの管理業務がある場合

店舗全体の外国人スタッフの育成・指導(日本語研修、接客研修など)を担当する場合は申請可能。

翻訳・通訳業務がメインの仕事である場合

• 本部との連絡調整、多言語マニュアルの作成、海外取引の管理業務であれば対象となる。

ビザが難しいケース(複数店舗)

現場スタッフとしてレジ業務や品出しがメインの場合は、単純労働とみなされ不許可。

実態として専門的な業務を行っていないと判断される場合も認められない。

3. 1店舗のみの経営の場合の採用ポイント

1店舗のみを経営するコンビニの場合、「技人国」ビザの取得はより困難になります。

🔹 1店舗経営で技人国ビザを取得できるケース

本部と連携し、マーケティング・店舗戦略を担当するポジション

外国人スタッフのマネジメント、教育を行う業務

翻訳・通訳として、外国人対応が必須の職務

ビザ取得が困難なケース(1店舗)

店舗の規模が小さく、専門業務がほとんど発生しない

業務内容の大半がレジや接客などの単純労働

売上規模が小さく、専門職の必要性を証明できない

💡 可能な対応策

1店舗であっても、「本社機能に準じる業務」や「多国籍スタッフの管理業務」を明確に位置づけることで、技人国ビザが認められる可能性が高まります。

さらに、フランチャイズ経営として本部業務を兼任する形態をとることで、認可を得やすくなる場合があります。

5. まとめ

コンビニで外国人を「技人国」ビザで採用することは可能ですが、1店舗のみの場合はハードルが高く、複数店舗運営の方が有利です。

💡 ポイントは「専門的業務があるかどうか」。レジ業務や接客ではなく、マーケティング、教育、翻訳、管理業務を担当できるかどうかがカギになります。

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