在留カードを持っているから雇っても良い?!不法就労に問われないために
- takeshi kawamoto
- 4月7日
- 読了時間: 4分
更新日:7月8日
外国人を雇用する際、在留カードを持っているからといって、無条件に雇用しても良いわけではありません。在留資格には、それぞれ適用範囲や条件があり、企業の業務内容や外国人の経歴・学歴との関連性を考慮しなければなりません。本記事では、在留資格の審査基準や不法就労に問われないためのポイントを解説します。
1. 入管の審査と在留資格の特殊性
入管(出入国在留管理庁)の審査では、以下の要素が総合的に考慮されます。
企業の規模や業務内容:企業の事業内容が在留資格の範囲内であることが求められます。
申請人の学術的背景:申請人の学歴や専門性が、業務内容と適合しているかが審査されます。
業務内容と学歴の関連性:大学や専門学校で学んだ内容と業務の関連性が重要視されます。
業務の継続性:一時的な業務ではなく、継続的に行われる業務であるかが求められます。
在留資格を持っていても、転職した際に前職と大きく業務内容が異なる場合、新しい職場での業務が適用範囲外とみなされ、更新時に不許可となるリスクがあります。
2. 在留カードがあっても無条件に雇用できない理由
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人がいた場合、在留期間内だからといって、どのような業務でも従事できるわけではありません。前職の業務内容と大きく異なる職種に就いた場合、次回の更新時に適法性が問われ、更新が不許可になることがあります。
また、仮に更新が不許可となった場合、転職先の業務内容が適用範囲外であったことが判明すれば、当該外国人が不法就労に該当する可能性があり、さらに企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
3. 雇用前に確認すべきポイント
外国人を雇用する際には、以下のポイントをしっかり確認しましょう。
① 在留資格の種類と活動範囲
在留資格が企業の業務内容に適しているか確認する。
「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格は、専門的な業務に限定されているため、単純労働が含まれる場合は違反となる可能性がある。
② 前職の業務内容との関連性
申請時にどのような業務内容で在留資格を取得したかを確認する。
転職後の業務内容と一致していない場合、更新が難しくなる可能性がある。
③ 就労資格証明書の取得
転職後も在留資格の適用範囲内であることを確認するために、「就労資格証明書」を取得するのが望ましい。
これにより、転職後の業務が適法であることを事前に確認できる。
④ 資格外活動許可の有無
在留資格の範囲を超える業務を行う場合は、資格外活動許可が必要。
無許可で適用範囲外の業務に従事した場合、資格外活動違反となり、罰則の対象となる。
4. 違反した場合のリスク
もし在留資格の範囲外の業務に従事させた場合、以下のような法的リスクが発生します。
① 不法就労
外国人が許可されていない業務に従事することで、不法就労に該当。
在留資格の更新時に不許可となり、最悪の場合、強制退去となる可能性も。
② 不法就労助長罪(企業側のリスク)
企業側が「在留カードを持っているから大丈夫」と誤認し、適用範囲外の業務に従事させた場合、不法就労助長罪に問われる可能性がある。
罰則として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性がある。
③ 資格外活動違反
在留資格の範囲外の業務に従事した場合、資格外活動違反として、外国人本人も処罰の対象となる。
これが発覚すると、次回の在留資格更新が極めて困難になる。
まとめ
在留カードを持っているからといって、無条件に雇用して良いわけではありません。企業側は、在留資格の適用範囲を正しく理解し、雇用する外国人の前職の業務内容や学歴との関連性を慎重に確認する必要があります。
特に、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人を雇用する場合は、転職後の業務が適法かどうかを確認し、必要に応じて就労資格証明書の取得を検討しましょう。
適切な雇用管理を行うことで、不法就労のリスクを回避し、企業も外国人も安心して働ける環境を作ることが重要です。
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