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【評価基準が曖昧】日本人と同じ評価制度では、文化的な背景の違いから公平な評価ができない…

「こんな困りごとありますよね。『協調性』『主体性』『改善提案』といった、日本の評価シートに並ぶ、いかにも日本的な評価項目。自己PRを謙遜と捉える文化で育ったスタッフは『主体性がない』と低く評価され、逆に実績をストレートに語るスタッフは『協務性に欠ける』と見なされてしまう。同じ物差しで測っているつもりが、評価者の文化的なバイアスによって、不公平な評価を生んでいないか、大きな不安を感じる。」

その不安は、グローバルなチームを率いる上で、必ず向き合わなければならない核心的な課題です。問題の根源は、日本の伝統的な人事評価が、成果(Performance)だけでなく、人物像(Personality)やプロセスでの「頑張り」といった、極めて主観的で、文化的な価値観に依存する項目を多く含んでいることにあります。この曖昧な物差しを使い続ける限り、意図せずとも「日本人らしい振る舞い」を高く評価することになり、外国人スタッフの不満と不信を招き、離職の大きな原因となります。


効果的な解決方法


国籍や文化背景に関わらず、誰もが納得できる公平な評価制度を築くには、評価の軸を**「人物」から「行動」と「成果」へ**とシフトさせることが不可欠です。

  1. 評価項目を「具体的な行動レベル」に分解する(コンピテンシー評価の導入): 「協調性」や「主体性」といった抽象的な言葉の使用をやめましょう。その代わりに、ホテルとして求める「具体的な行動(コンピテンシー)」に分解して定義します。

    • 例:「協調性」→「チームの目標達成のために、他部署のメンバーにも積極的に協力する」「自分の意見を伝える際、相手への敬意を払った言葉を選ぶ」 このように、誰がどう見ても「YES/NO」で判断できる行動基準にすることで、評価者の主観が入る余地を減らし、評価の公平性を高めます。

  2. 「何を達成したか」を客観的に測る(MBO:目標管理制度の活用): 評価期間の始めに、上司と部下が相談の上で、達成すべき**「定量的・定性的な目標」**を具体的に設定します。

    • 例:「担当フロアの顧客満足度アンケートで、平均4.5点以上を獲得する」「新規の法人契約を3件獲得する」 評価面談では、この目標が達成できたか否かを基に話を進めるため、議論が客観的になり、本人の納得感も得やすくなります。

  3. 評価者(マネージャー)自身をトレーニングする: どんなに優れた制度も、使う人次第です。評価を行うマネージャー層への教育が、制度の成否を分けます。

    • アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修: 誰にでもある「自分と同じようなタイプの人を高く評価してしまう」といった無意識の偏見に気づかせ、それを自覚した上で評価に臨むトレーニングを行います。

    • 評価者トレーニング: 具体的な評価の進め方、事実に基づいたフィードバックの方法などを、ロールプレイングを交えて訓練します。


こうすれば解決できる!グローバル人事評価制度 設計フレームワーク


以下の表は、文化的バイアスを排し、公平・透明な人事評価制度を構築するためのポイントをまとめたものです。

課題

解決アプローチ

具体的な制度・アクション

評価者が心掛けること

① 評価項目が抽象的で文化に依存している

評価基準の行動レベルへの分解

コンピテンシー評価の導入。(例:「主体性」→「指示を待つだけでなく、自ら課題を見つけ解決策を提案したか」) ・**MBO(目標管理制度)の導入。(成果(MBO)と行動(コンピテンシー)の両輪で評価する)

・評価項目の一つひとつについて、「具体的に、どんな行動を指すのか」を本人と事前にすり合わせておく。

② 評価者の主観や文化的バイアスが入る

評価プロセスの客観化と評価者の教育

・評価理由を、具体的な成功・失敗エピソードを基に記述することを義務付ける。 ・評価者研修を必須化する。(特に、アンコンシャス ・バイアス研修)・複数の評価者による多面評価(360度評価)の導入を検討する。

・評価シートに記入するのは「印象」ではなく「事実(Fact)」。 ・自分の「当たり前」が、グローバルな「当たり前」ではないことを常に自覚する。

③ 評価結果に対する本人の納得感が低い

評価プロセスの透明化と双方向の対話

・評価基準と評価プロセスを、全従業員に完全に公開する。 ・評価面談の前に、本人に自己評価シート**を記入してもらい、それを基に対話を行う。 ・評価の最終決定前に、部門長や人事が評価結果をチェックし、部門間の甘辛調整を行う**「評価調整会議」**を実施する。

・評価面談は「結果を一方的に通告する場」ではなく、「認識をすり合わせ、次の成長に繋げるための対話の場」と位置づける。


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