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【突然の離職】何の予兆もなく、突然「国に帰ります」と言われ、引き止められない…

「こんな困りごとありますよね。昨日までいつも通りにこやかに働いていた外国人スタッフが、面談室に入るなり、突然『来月いっぱいで、国に帰ることにしました』と退職を告げてくる。理由を尋ねても『一身上の都合です』としか言わない。何の相談もなく、まさに青天の霹靂。慰留しようにも、本人の決意は固く、為す術がない。一体、彼(彼女)の中で何が起きていたのか、全く分からず途方に暮れてしまう。」

この「突然の離職」は、人事担当者や上司にとって、最もショックで、無力感を覚える出来事の一つです。しかし、本人にとっては、決して「突然」ではありません。多くの場合、小さな不満や、日本での生活への不安、職場での孤独感などが、長い時間をかけて少しずつ降り積もり、コップの水が溢れるように、ある日突然「帰国」という決断に至るのです。つまり、会社側が「予兆」に気づけなかっただけ。この悲劇を繰り返さないためには、彼らが発する「小さなSOSサイン」を早期に察知し、手遅れになる前に対処する仕組みが不可欠です。


効果的な解決方法


離職の芽を早期に発見し、摘み取るための鍵は、**定期的な「対話」と、本音を話せる「心理的安全性」**の確保に尽きます。

  1. 「1on1ミーティング」を生命線と位置づける: これが、離職防止の最も強力な武器です。週に一度、あるいは隔週に一度でも構いません。15分〜30分、上司と部下が1対1で話す時間を必ず設けます。

    • 仕事の話「以外」も聞く: 業務の進捗確認だけでなく、「最近、よく眠れていますか?」「日本の生活で、何か困っていることはない?」「週末は何をして過ごしたの?」といった、プライベートな領域にも一歩踏み込んだ問いかけが、彼らの心の状態を知るきっかけになります。

    • 「変化」に気づく:「最近、口数が減った」「笑顔が少なくなった」「遅刻や休みが増えた」といった変化は、重要な危険信号です。そんな時は、「最近、少し元気がないように見えるけど、何かあった?」と優しく声をかけ、本音を話せるきっかけを作ります。

  2. 相談できる「逃げ道」を複数用意する: 直属の上司には、言いにくいこともあります。相談ルートを複数用意しておくことで、一人で抱え込ませるのを防ぎます。

    • 人事部を「駆け込み寺」に:「上司には言えない悩みがあれば、いつでも人事部に相談してください」と、人事部が中立的な相談窓口であることを明確に伝えます。

    • メンター/バディ制度の活用: 同じ国の先輩や、年の近い日本人社員の「バディ」は、上司よりも先に悩みを打ち明けられる存在になることがあります。彼らからの「〇〇さん、最近元気がないみたいですよ」という情報も、重要なサインです。

  3. 退職者から徹底的に学ぶ(エグジットインタビューの実施): 去っていく人を引き止められなくても、その経験を次に活かさなければなりません。退職が決まったスタッフには、必ず「エグジットインタビュー(退職者面談)」を実施します。

    • 本当の理由を聞き出す:「あなたの正直なフィードバックが、今後の会社を良くするために、そして後に続く後輩たちのために、本当に重要なんです」と伝え、本音を話してもらえるよう促します。「会社や私(上司)に、改善できた点はありましたか?」と、踏み込んで質問しましょう。

    • 組織の課題として捉える:「給与が低かった」「評価に納得できなかった」「孤独だった」といった退職理由を個人のがっかりで終わらせず、組織全体の課題として受け止め、経営層に報告し、具体的な改善策に繋げます。


こうすれば解決できる!離職の予兆検知&防止システム


以下の表は、「突然の離職」を防ぎ、従業員が安心して働き続けられる環境を作るための具体的なアクションプランです。

フェーズ

目的

具体的なアクション

チェックすべき「小さなサイン」

① 予防(問題を未然に防ぐ)

安心して何でも話せる関係性と環境を作る

・上司との週1回の1on1ミーティングを制度化する。 ・仕事の話だけでなく、プライベートな悩みも話せる雰囲気を作る。 ・メンターや人事部など、複数の相談窓口を設ける。

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② 早期発見(SOSサインを察知する)

離職に繋がる心や行動の変化に気づく

・1on1や日々の観察を通じて、以下の「小さなサイン」が出ていないか、上司が意識的にチェックする。 ・気になるサインがあれば、放置せず、すぐに声をかける。

□ 遅刻や欠勤が増えた □ 口数が減り、笑顔が消えた □ 同僚との交流を避けるようになった □ 仕事でのケアレスミスが増えた □ 将来のキャリアに関する話を避ける

③ 初期対応(問題の深刻化を防ぐ)

本音を傾聴し、具体的な解決策を探る

・サインに気づいたら、「最近、何かあった?」と個別に面談の時間を設定する。・相手の話を、決して否定せずに最後まで聴く。 ・会社として解決できる問題(例:業務内容、人間関係)であれば、具体的な改善策を提示し、実行を約束する。

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④ 事後対応(次の離職を防ぐ)

失敗から学び、組織を改善する

・退職者には必ずエグジットインタビューを実施し、本当の退職理由をヒアリングする。 ・得られた課題は、経営層に報告し、具体的な組織改善アクションに繋げる。

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