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【突然の連絡】入管から調査依頼が!在留資格は大丈夫?「事実の調査」の対象と対策を徹底解説


「出入国在留管理庁(通称:入管)ですが、在留資格の件で調査のご協力をお願いします。」

ある日突然、こんな連絡が来たら、誰でも不安になるはずです。これは「事実の調査」と呼ばれる手続きで、あなたの在留資格が重大な見直しの対象になっているサインかもしれません。

この記事では、どのような場合にこの調査が行われるのか、特に注意すべきケース、そして調査で何が確認され、どう対応すればよいのかを分かりやすく解説します。


なぜ調査が?「事実の調査」が行われる主なケース


入管が行う「事実の調査」は、刑事罰を目的としたものではなく、在留資格の取消しなどを検討する前に、申請された内容と実際の活動状況が一致しているかを確認するための行政手続きです(入管法第五十九条の二)。   


主に、以下のような状況で調査の対象となる可能性があります。

  • 申請内容と実態が異なると疑われる場合:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許可された業務とは全く違う仕事をしている、留学生が学業そっちのけでアルバイトに明け暮れているなど 。   


  • 提出書類の信憑性に疑いがある場合:雇用契約書や学歴証明書、結婚の経緯を証明する書類などが偽造されたものではないかと疑われている 。   


  • 偽装結婚など身分関係が疑われる場合:「日本人の配偶者等」の在留資格の基礎である結婚生活に実態がないと見なされている 。   


  • 第三者からの情報提供があった場合:匿名での通報などにより、入管法違反の疑いが寄せられたケース。


【要注意】在留期間が「1年」で更新され続けているケース


在留期間の更新で「3年」や「5年」を希望したのに、なぜか「1年」しか許可されない…。実は、これは入管があなたの在留状況を「まだ完全には信用していない」というサインかもしれません。

特に「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで1年更新が続く場合、入管は**「申請された活動内容の信憑性を、もう少し時間をかけて確認したい」**と考えている可能性があります。

1年更新になりやすい主な理由は以下の通りです。

  • 会社の経営状況への懸念:会社の設立年数が浅い、決算が赤字続きであるなど、雇用の安定性に疑問符がついている 。   


  • 本人の状況:転職回数が多い、納税や社会保険の支払いを怠っているなど、日本での生活基盤が不安定だと判断されている 。   


  • 活動内容の信憑性:申請された職務内容が曖昧であったり、給与が業界水準に比べて著しく低かったりする場合、本当にその業務に従事しているのか慎重に審査されます 。   


このように、もともと入管が慎重な姿勢を見せている「1年更新」の状況で、何らかの疑義が生じた場合、事実調査の対象となる可能性は高まります。


調査では何を確認されるのか?


事実調査では、申請通りの活動を客観的な証拠に基づいて行っているかが厳しくチェックされます。特に、以下の点が重点的に確認されることが多いです。

  • 労働関係の帳票類 賃金台帳、出勤簿、タイムカードなど、労働時間や給与支払いの実態を示す公的な書類の提出を求められます。これらは、実際にその会社で、申請通りの条件で働いていることを証明する最も重要な証拠です 。   


  • 就労現場での事実確認 入管の職員が実際に職場を訪問し、本人のデスクや作業場所を確認したり、上司や同僚に仕事内容についてヒアリングしたりすることがあります 。詳細な業務スケジュールや、具体的な仕事内容について質問されることも想定しておくべきです。   


  • 客観的に業務内容を証明できる証拠 担当したプロジェクトの資料、作成した成果物、業務上のメールのやり取りなど、「申請した専門業務に確かに関わっている」ことを客観的に示せる証拠の提出を求められるケースが増えています。


【2024年法改正】調査はより厳格に!デジタルデータも対象に


2024年6月に公布された改正入管法により、この事実調査は新たな段階に入りました 。最も大きな変更点は、調査で提示を求められる対象に、従来の「文書」に加えて**「電磁的記録」**が明記されたことです 。   


これにより、入管は以下のようなデジタルデータの提出を法的に要求できるようになりました。

  • 電子メールやビジネスチャットの記録

  • PC内に保存されている業務ファイルやデータ

  • オンラインの勤怠管理システムの記録

  • 場合によってはSNSのやり取り

この改正は、私たちの活動の証拠が紙からデジタルへと移行した現代社会の実態を反映したものです。これにより、入管はより詳細かつ広範囲にわたって活動実態を検証できるようになりました。外国人本人だけでなく、雇用する企業側も、デジタルデータの適切な管理がこれまで以上に重要になっています。


もし調査の連絡が来たら…落ち着いて取るべき3つの行動


万が一、入管から調査協力の依頼が来ても、決して慌てないでください。冷静に、そして誠実に対応することが何よりも重要です。

  1. 無視は絶対にしない 正当な理由なく出頭要求を無視したり、調査への協力を拒んだりすると、心証が著しく悪化し、在留資格の更新などで極めて不利な結果を招く可能性があります。

  2. 求められる書類を準備する まずは、雇用契約書、賃金台帳、タイムカードなど、自身の活動を証明する基本的な書類を整理しましょう。何が求められるか分からなければ、正直に担当官に確認することも一つの手です。

  3. 速やかに専門家に相談する 最も重要な行動です。行政書士や弁護士など、出入国管理業務の専門家にすぐに相談してください。専門家は、どのような意図で調査が行われているのかを分析し、適切なアドバイスや書類作成のサポート、さらには意見聴取への同席など、あなたを守るための最善の策を講じてくれます 。   


日頃から申請した内容通りの活動を誠実に行い、その記録をきちんと保管しておくことが、最大の防御策となります。この機会にご自身の在留状況を一度見直してみてはいかがでしょうか。


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