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【祈りの場所がない】お祈りの時間や場所を確保してあげたいが、ホテルの施設では難しい…

「こんな困りごとありますよね。イスラム教徒(ムスリム)の従業員から、毎日5回ある礼拝のための時間と場所について、遠慮がちに相談された。彼らの信仰を心から尊重し、できる限りの配慮をしてあげたい。しかし、ホテルには礼拝専用の部屋(プレイヤールーム)などなく、休憩時間もシフトで厳密に決まっている。どうすれば、業務への支障を最小限に抑えつつ、彼らの切実な要望に応えられるのか、良い方法が見つからずに悩んでしまう。」

このお悩みは、従業員の多様化が進む多くの職場で共通の課題となっています。まず最も重要なのは、イスラム教徒にとって礼拝は、日々の生活に欠かせない**「義務」であり「心の拠り所」であると理解することです。これは「できればやりたい」というレベルのものではなく、彼らのアイデンティティの根幹に関わる重要な行為なのです。この前提に立てば、「特別な部屋を用意できないから、対応できない」と考えるのではなく、「今ある資源の中で、最大限の敬意と配慮を示すにはどうすれば良いか」**という、創造的な解決策が見えてくるはずです。


効果的な解決方法


立派な礼拝室がなくても、工夫次第でインクルーシブな環境は作れます。ポイントは「場所」「時間」「理解」の3つです。

  1. 「部屋」ではなく「空間(スペース)」を用意する: 礼拝に必要なのは、豪華な設備ではありません。「静かで、清潔で、プライバシーが保てる方向がわかる空間」です。

    • 空きスペースの活用: 普段使っていない小さな会議室や、オフィスの一角、清潔な倉庫の隅などを「多目的スペース」として活用します。礼拝は1回5〜10分程度と短時間なので、常時確保する必要はありません。

    • 最低限の備品を用意: スペースの入り口に「使用中(Prayer in Progress)」の札を用意し、プライバシーを守れるようにします。メッカの方向を示す「キブラコンパス」やシールを壁に貼り、本人が持参した礼拝マットを保管できる小さな棚があれば、十分すぎるほどの配慮となります。

  2. 「固定休憩」から「柔軟な小休憩」へ: 礼拝の時間は、季節によって毎日少しずつ変動します。固定の休憩時間内での対応が難しい場合は、柔軟な運用を検討しましょう。

    • 礼拝時間の把握: スマートフォンの礼拝時間アプリ(IslamicFinderなど)を使えば、その日の礼拝時間を簡単に把握できます。

    • 短時間の「中抜け」を許可: 1時間の昼休憩とは別に、業務の閑散期を見計らって10〜15分程度の「礼拝休憩」を認める、という運用です。上長と本人が事前に相談し、シフトに大きな影響が出ないよう調整する仕組みを作ります。

  3. 全従業員で「理解」を共有する: 一部の従業員への「特別扱い」と誤解されないために、会社としての方針を明確にし、全従業員に背景を説明することが不可欠です。

    • ガイドラインの作成:「宗教的配慮に関するガイドライン」といった形で、礼拝への対応方針を明文化します。

    • D&I研修での説明: 全社員向けの研修などで、「なぜ、このような配慮が必要なのか」を説明します。これは、特定の宗教を優遇するためではなく、多様な従業員一人ひとりが安心して能力を発揮できる職場を作る、というホテル全体の理念のためであることを伝えます。


こうすれば解決できる!職場の礼拝対応 アクションプラン


以下の表は、礼拝室がなくても、イスラム教徒の従業員に寄り添う環境を作るための具体的なアクションプランです。

課題

解決アプローチ

具体的なアクションプラン

必要なツール・配慮

① 専用の部屋がない

「部屋」ではなく「空間」の発想

・静かで清潔な小部屋(会議室の隅など)を「多目的スペース」とする。 ・使用中は「使用中(Prayer in Progress)」の札を掲示するルールを作る。 ・スペースの一角に、礼拝マットを置ける小さな棚を用意する。

・使用中サインプレート ・キブラ(礼拝方向)を示すコンパスやシール

② 礼拝時間が不規則で休憩時間と合わない

柔軟な勤務時間・休憩制度

・礼拝時間を本人と上長が共有し、業務の閑散期に10〜15分程度の**「礼拝休憩」**を取得できる仕組みを検討する。 ・シフト作成時に、あらかじめ礼拝時間を考慮に入れる。

・礼拝時間通知アプリ ・柔軟な休憩取得に関する社内ルール

③ 他の社員の理解が得られるか不安

オープンなコミュニケーションとルールの透明化

・**「宗教的配慮に関するガイドライン」**を作成し、全社員に公開する。 ・全社員向けのダイバーシティ研修で、なぜこの配慮が必要なのか、その背景と目的(多様性の尊重)を丁寧に説明する。

・社内ガイドライン・ダイバーシティ&インクルージョン研修

④ 本人から言い出しにくい

会社からの積極的な歩み寄り

・採用時や入社時の面談で、「何か宗教上で配慮が必要なことはありますか?」と会社側から尋ねる。 ・相談窓口(人事部など)を明確にする。

・入社時オリエンテーション資料への記載


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