【成長の停滞】基本的な業務はできても、そこから先の応用力やスキルが伸び悩んでいる…
- takeshi kawamoto
- 7月9日
- 読了時間: 4分
「こんな困りごとありますよね。マニュアルに沿った基本的な業務は、研修の甲斐あって正確にこなせるようになった外国人スタッフ。しかし、お客様からのイレギュラーなリクエストや、予期せぬトラブルが発生すると、途端に思考が停止し、指示を待つばかり。『もっとこうすれば良くなるのでは?』と自ら工夫したり、新しいスキルを積極的に学ぼうとしたりする意欲が見えず、成長が頭打ちになっているように感じてしまう。」
この「成長の停滞」は、本人の能力や意欲だけの問題ではないかもしれません。むしろ、「マニュアル通りに完璧にこなすこと」を教えすぎた結果、失敗を恐れてマニュアルの外に出られなくなっている可能性が高いのです。彼らにとって、指示されていない行動を取ることは、叱責されるリスクを伴う危険な賭け。この「見えない壁」を壊し、彼らが自律的に考え、行動する「自走人材」へと成長を促すためには、「答えを教える」ティーチングから、「考えさせる」コーチングへと、上司の関わり方そのものを変えていく必要があります。
効果的な解決方法
基本的な業務ができるようになった「守」の段階から、応用・発展の「破」の段階へと導くには、意図的な働きかけが不可欠です。
「What(何を)」から「Why(なぜ)」と「How if(もし〜なら)」へ: 日々の業務の中で、彼らの思考を促す問いかけを増やしましょう。
目的を考えさせる:「なぜ、私たちはチェックアウト後のお客様を、玄関までお見送りするのだと思う?」と、作業の背景にある目的や理念を考えさせます。
仮説を立てさせる:「もし、お客様からこの近辺でベジタリアン向けのレストランを聞かれたら、〇〇さんはどうやって調べて、どうご案内する?」と、起こりうる事態をシミュレーションさせ、対応策を考えさせます。
キャリアの「地図」を見せ、共に「登山計画」を立てる: なぜ成長する必要があるのか、その先にある未来が見えなければ、モチベーションは湧きません。
スキルマップの提示:「今のポジション」から「シニアスタッフ」「リーダー」へとステップアップするために、どんなスキルや経験が必要になるのかを一覧できる「スキルマップ」を提示します。
定期的なキャリア面談: 半年に一度など、評価とは別に「今後、どんなスキルを身につけたいか」「どんな仕事に挑戦したいか」を話し合う1on1ミーティングを実施。「そのために、明日から何ができるか」を一緒に考え、具体的な行動計画に落とし込みます。
「少しだけ難しい仕事」を任せてみる(ストレッチ・アサインメント): 今の能力の120%くらいの、少し背伸びすれば届くような裁量のある仕事を任せてみましょう。
例:「来月の季節イベントで、外国人のお客様に喜んでもらえそうなウェルカムドリンクのアイデアを3つ考えて、提案してくれないかな?」
安全網を張っておく:「まずは自分で考えてみて。でも、もし途中で分からなくなったり、困ったりしたら、いつでも私か〇〇さんに相談してね」と伝え、挑戦を安心して行える環境を整えます。
こうすれば解決できる!「指示待ち人間」から「自走人材」へ育てる関わり方
以下の表は、スタッフの成長ステージを一段階引き上げるための、上司・リーダーの具体的な関わり方をまとめたものです。
課題 | 原因の仮説 | 解決アプローチ | 上司・リーダーの関わり方(言葉がけ・行動) |
① 指示待ちで、応用が利かない | ・失敗を恐れている ・イレギュラー対応の経験不足 ・正解を教えてもらうことに慣れている | コーチング型コミュニケーションへの転換 | (答えを教える前に)「〇〇さんなら、どうするのがベストだと思いますか?まずは、あなたの考えを聞かせてください。」「なるほど、その方法は良いですね。他に、考えられる選択肢はありますか?」 |
② 新しいスキルを学ぼうとしない | ・学ぶ目的が見えていない ・キャリアへの展望が持てていない | キャリアパスの明示と目標設定支援 | (キャリア面談で)「1年後、どんな仕事ができるようになっていたいですか?そのために、会社としてどんなサポートができますか?」「一緒に、あなたのための『スキルアップ計画』を半年単位で作りましょう。」 |
③ モチベーションが停滞している | ・仕事がマンネリ化している ・自分の成長を実感できていない ・正当に評価されていないと感じる | 挑戦機会の提供と承認・フィードバック | (仕事を任せる時)「この件、〇〇さんならもっと良くできると思うので、あなたに任せたいです。」(成長が見えた時)「半年前と比べて、お客様への提案力が格段に上がりましたね。素晴らしい成長です。」 |
④ 改善提案などが出てこない | ・「自分の仕事ではない」という意識 ・提案しても無駄だと思っている | 当事者意識の醸成と小さな成功体験の創出 | 「〇〇さんがいつも使っているこの予約システム、もっと使いやすくなるアイデアはありませんか?」「そのアイデア、素晴らしいですね!早速、次のチームミーティングで皆に共有してください。」 |
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