【密かに入管の取締が強化】シリーズ(全4部)第3部:摘発は通報からじゃない
- takeshi kawamoto
- 8月12日
- 読了時間: 3分
不法就労はこうしてバレる!本当に怖い『予期せぬ摘発』のリアル
「うちは通報されるような恨みは買っていない」――。そう考えるのは危険です。不法就労の発覚は、一般的に想像される「内部告発」や「近隣からの通報」だけではありません 。実際の摘発事例を分析すると、企業の管理の及ばない、もっと多様で予測不可能な経路が浮かび上がってきます。
あなたの会社のリスクはどこに?不法就労の発覚経路5パターン
当局は、情報提供窓口や報奨金制度を設けて国民からの通報を奨励していますが 、それ以上に注意すべきは以下の経路です。
表2:不法就労の主要な発覚経路
発覚経路 | 主なきっかけ | 危険度 | 企業にとってのリスク |
① 内部・外部からの通報 | 従業員の不満、解雇トラブル、競合他社の告発 | ★★★☆☆ | 労務管理の失敗が命取りに 。 |
② 別件での警察による偶発的発見 | 従業員の窃盗、暴行、交通違反など | ★★★★★ | 最も予測不能。従業員個人の行動が会社を揺るがす 。 |
③ 日常的な警察活動 | 街頭での職務質問 | ★★★★☆ | 従業員が職務質問を受け、偽造カードやオーバーステイが発覚 [12, 13, 14]。 |
④ システムを標的とした捜査 | 偽造カード組織やブローカーの摘発 | ★★★★★ | 採用時の確認の甘さが、芋づる式の摘発に繋がる 。 |
⑤ 労働局の調査 | 従業員からの賃金・労働条件に関する申告 | ★★★★☆ | 労使紛争が、そのまま入管法違反事件へと発展する 。 |
本当に怖いのは「偶発的発見」
最も警戒すべきは「② 別件での警察による偶発的発見」です。例えば、こんなケースが現実に起きています。
事例A: あるスーパーで起きた傷害事件の捜査から、その店が系列店ぐるみで長年、約200人の外国人を不法就労させていたことが発覚し、経営者が検挙されました 。
事例B: 従業員の一人が万引きで捕まり、その取り調べから不法滞在が判明。そこから雇用主である会社が特定される 。
事例C: 従業員が何らかの容疑で逮捕され、スマホを解析された結果、職場の同僚にも不法就労者がいることが分かり、一斉摘発に繋がる [15, 16]。
これらの事例が示すのは、社内のコンプライアンス体制を完璧にしても、従業員一人の社外での行動が、会社全体を捜査対象にしてしまうという、恐ろしい現実です。
有名企業も他人事ではない。経営トップの責任が問われた事例
「知らなかった」「担当者に任せていた」という言い訳は、もはや通用しません。当局は、有名企業を摘発し、その内容を広く報道することで、「不法就労は経営者の責任である」という強いメッセージを発信しています。
ウーバーイーツ事件 : 直接雇用ではない「配達員」の在留資格確認が不十分だったとして、日本法人とその幹部が書類送検。事業プラットフォームの提供者にも重い責任があることを示しました。
一蘭事件 : 留学生アルバイトの勤務時間超過を警告するシステムがありながら、現場の違反を放置。結果、現場の店長だけでなく、法人としての一蘭、そして代表取締役社長までが書類送検されました。経営トップの監督責任が厳しく問われた象徴的な事件です。
中村屋事件 : 人材派遣会社から受け入れた外国人を、資格外の単純作業に従事させたとして書類送検。派遣先企業も、労働内容が適法かを確認・管理する義務を負うことが明確になりました。
これらの事件は、不法就労助長罪が、単なる法律違反から、株価やブランドイメージ、そして役員個人の法的責任に直結する、重大なコーポレート・ガバナンスの問題へと格上げされたことを物語っています。
最終回となる第4部では、これらのリスクから会社を守るための具体的な「鉄壁の防衛策」を徹底解説します。
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