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【密かに入管の取締が強化】シリーズ(全4部)第1部:罰金500万円は始まりに過ぎない

2024年5月、外国人雇用に関するルールが静かに、しかし根本的に変わったことをご存知でしょうか? これは単なる法律のマイナーチェンジではありません。知らなければ、あなたの会社の存続を揺るがしかねない、重大な構造変化です。

「うちは真面目にやっているから大丈夫」そう思っている経営者の方にこそ、知っていただきたい現実があります。今回の改定で、政府の取締り体制は、これまでにないほど統合的かつ厳格なものへと進化しました。

この記事シリーズでは、経営者が今すぐ知っておくべき、重大な変化を分かりやすく解説していきます。まず第1部では、その最も衝撃的な変化である「厳罰化」の現実を深掘りします。


何が変わった?罰金500万円・懲役5年。もはや「知らなかった」では済まされない厳罰化


今回の取締り強化は、過去の取り組みとは次元が違います。その背景には、増加に転じた不法残留者の問題があります 。この深刻化する事態を受け、2024年5月、警察庁、法務省、出入国在留管理庁、厚生労働省の四省庁は、共同で新たな取締り方針を打ち出しました 。これは、日本の外国人材受け入れ政策の大きな転換点、特に2027年までに施行される新制度「育成就労」を前に、不法就労の温床を根絶しようという政府の強い意志の表れです [2, 4, 5]。


過去とは比べ物にならない「厳しさ」


これまでも、省庁間の連携による不法就労対策は存在しました。しかし、2024年の改定は、その厳格さにおいて一線を画します。


ポイント1:罰則の抜本的強化

最も衝撃的な変更は、不法就労をさせた雇用主などに適用される「不法就労助長罪」の罰則強化です。

  • 旧規定: 3年以下の拘禁刑 または 300万円以下の罰金

  • 新規定: 5年以下の拘禁刑 または 500万円以下の罰金

さらに重大なのは、これらが併科可能、つまり両方の罰が科される可能性がある点です。これは、不法就労が、単なる行政指導の対象から、経営者個人の刑事責任を問われかねない重大犯罪へと完全に位置づけが変わったことを意味します。


ポイント2:取締り対象の拡大

新しい方針は、不法就労者本人だけでなく、不法就労を可能にする社会構造、いわば「不法就労エコシステム」全体の解体を狙っています。具体的には、以下の対象への取締りが強化されます。

  • 悪質な雇用主や仲介ブローカー

  • 偽造在留カードの製造・販売組織

  • 難民申請や技能実習制度を悪用する者

これは、自社が直接雇用する従業員の在留資格を確認するだけでは不十分であり、取引のある人材派遣会社や業務委託先など、自社のサプライチェーン全体の適法性まで問われるリスクが高まっていることを示しています。


ポイント3:情報共有の高度化

これまでも省庁間の「連携」はありましたが、今回はレベルが違います。企業がハローワークに届け出る「外国人雇用状況届出情報」が、オンラインで出入国在留管理庁と共有され、失踪した技能実習生の追跡などに積極的に活用されることが明記されました。これにより、当局は不審なケースをデータで効率的にあぶり出すことが可能になり、企業側の隠蔽やごまかしは格段に難しくなりました。

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