【家族の壁】母国にいる家族の事情で、急な帰国や離職を余儀なくされる…
- takeshi kawamoto
- 7月9日
- 読了時間: 4分
「こんな困りごとありますよね。チームの中核として、これからますますの活躍を期待していた外国人スタッフ。そんな彼からある日突然、深刻な顔で『母国の親が倒れたので、すぐに帰国しなければなりません。いつ戻れるか分かりません。申し訳ありませんが、退職します』と告げられる。本人の辛い状況を思えば、強く引き止めることなどできない。しかし、会社としては大きな戦力ダウン。もう少し早く相談してくれれば、何か方法はなかったのだろうか…と、やるせない気持ちになってしまう。」
この問題は、外国人雇用において避けては通れない、非常にセンシティブな課題です。彼らにとって、遠く離れた母国の家族は、心の支えであり、最優先事項。家族の一大事となれば、仕事を辞めてでも駆けつけようとするのは、当然の情です。しかし、ここで従業員が**「仕事を続ける」か「辞めて帰国する」かの二者択一しか考えられない状況にさせてしまうのは、会社のサポート不足かもしれません。会社として、彼らに「一時的に休み、また戻ってくる」という第三の選択肢**を提示できるかどうかが、大切な人材を繋ぎとめられるかの分かれ道となります。
効果的な解決方法
一方的な退職という最悪の事態を避けるには、平時から「何かあったら会社を頼っていいんだ」という信頼関係を築き、いざという時に柔軟に対応できる制度を整えておくことが重要です。
日本の「両立支援制度」を、あらかじめ周知しておく: 日本の労働法には、家族の介護などのために仕事を休める制度があり、これらは国籍を問わず適用されます。しかし、多くの外国人スタッフはその存在すら知りません。
介護休業制度: 家族が要介護状態になった場合、通算93日まで休業できる制度です。適用の条件はありますが、「日本には、家族の介護のために仕事を休める公的な制度がある」ということを知っているだけでも、心の余裕が全く違います。
慶弔休暇・年次有給休暇: 就業規則に定められた忌引休暇や、本人が持つ有給休暇を、このような緊急時に柔軟に利用できることを、日頃から伝えておきましょう。
会社独自の「柔軟な休職制度」を設ける: 公的な制度だけでは対応しきれない場合のために、会社独自のサポート体制を整えます。
一時帰国・休職制度:「母国の家族の緊急事態に対応するため、最長〇ヶ月の休職を認める」といった制度を設けます。籍を会社に残したまま、安心して家族のケアに専念してもらう。「あなたのポジションは確保しておくから、心配いらない」というメッセージは、何よりも強力なリテンション策になります。
リモートワークの活用: 職種にもよりますが、もし可能であれば、一時的に母国からリモートで業務を続けられるような選択肢を提示できないか検討します。
「辞める前に、まず相談を」という文化を醸成する: これが最も根本的な対策です。問題が発生してからではなく、平時から「何かあったら、一人で決断する前に、必ず相談してほしい」と伝え続けましょう。
1on1での声かけ: 定期的な1on1ミーティングの際に、「母国のご家族は、皆さんお元気ですか?」「もし、ご家族に何かあった時は、私たちもできる限りサポートしたいと思っているから、どんなことでも、まずは私か人事に話してくださいね」と、具体的な言葉で伝え続けることが、いざという時の相談のハードルを下げます。
こうすれば解決できる!家族の緊急事態 サポート&リテンションプラン
以下の表は、家族の事情による突然の離職を防ぎ、従業員に寄り添うための具体的な選択肢と、その伝え方をまとめたものです。
課題 | 従業員が陥りがちな思考 | 会社が提示できる選択肢 | 伝えるべき言葉・利用できる制度 |
家族の危篤・介護による突然の帰国・離職 | 「仕事を続ける」か「辞めて帰国する」かの二者択一しかない…。 | **第三の選択肢「一時的に休み、また戻ってくる」を提示する。 | 【日本の公的制度】「介護休業制度が、あなたにも適用される可能性があります。一緒に条件を確認しましょう。」【会社の柔軟な制度】「あなたの籍は会社に残しておきますから、まずは休職**という形で、安心してご家族のそばにいてあげてください。戻ってこられる日を、私たちは待っています。」 |
葬儀のための長期休暇が必要 | 忌引休暇の日数では足りないから辞めるしかない…。 | 休暇制度の柔軟な運用 | 【会社の休暇制度】「忌引休暇に加えて、残っている有給休暇をすべて使いましょう。それでも足りない分は、特別休暇として対応できないか、会社として検討します。」 |
母国の家族が心配で仕事に集中できない | 誰にも相談できず、一人で悩みを抱え込む。 | 平時からの信頼関係構築と相談の奨励 | 【上司からの声かけ】「何かあったら、退職という大きな決断をする前に、必ず一度、私に相談してください。私たちは、あなたの力になりたいと心から思っています。」 |
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