【休暇の考え方の違い】長期休暇の取得に対する考え方が異なり、シフト調整が困難…
- takeshi kawamoto
- 7月9日
- 読了時間: 4分
「こんな困りごとありますよね。外国人スタッフから『来月、母国に帰るので2週間休みます』と、当然のように長期休暇の申請が出される。遠い故郷に帰るのだから、事情はよく分かる。しかし、繁忙期に2週間もシフトに穴が開くのは、現場としては非常に厳しい。他の日本人スタッフからは『あの人ばかり優遇されて不公平だ』という不満の声も聞こえてきて、シフト調整とチーム内の人間関係の両方で頭を悩ませてしまう。」
この問題の根源は、休暇に対する文化的な価値観の違いにあります。欧米をはじめ多くの国では、心身のリフレッシュや家族と過ごすために、2〜3週間のまとまった休暇(バケーション)を取ることは**「労働者の当然の権利」**と捉えられています。一方、日本では「周りに迷惑をかけないように」と、長期休暇の取得に遠慮がちな文化が根強く残っています。このギャップを個人の「わがまま」や「配慮不足」で片付けてしまうと、対立は深まるばかり。解決の鍵は、感情論を排し、誰にとっても公平で透明性の高い「休暇のルール」を整備し、運用することです。
効果的な解決方法
「気持ちは分かるが、困る」というジレンマを解消し、計画的な人員配置と公平性を両立させるには、以下の3つのアプローチが有効です。
休暇申請の「ルール」を明確化し、全員に周知する: 「暗黙の了解」や「空気を読む」ことに頼るのをやめ、誰が見ても分かるルールブックを作成します。
早期申請の義務化:「連続5営業日以上の休暇は、原則として3ヶ月前までに申請すること」といったルールを設けます。これにより、マネージャーは代替人員の確保や業務の引き継ぎなど、余裕を持った計画を立てることができます。
繁忙期の事前告知: 年間の繁忙期(例:ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など)をあらかじめ特定し、「この期間は、原則として長期休暇の取得はご遠慮ください」と全従業員に事前に告知します。これは、国籍を問わず全員に適用されるルールでなければなりません。
重複の回避ルール:「同一チーム内で、長期休暇を取得できるのは同時に1名まで」といったルールを設ければ、早い者勝ちの公平な運用が可能になります。
「お互い様」の文化を意図的に醸成する: 不公平感をなくすためには、日本人スタッフも含めた全従業員の休暇取得を促進することが不可欠です。
メッセージの発信:「外国人スタッフが、大切な家族に会うために長期休暇を取る。その間は、チームでサポートする。日本人スタッフが、家族の介護や自身の病気で急な休みを取る。その時も、チームでサポートする。国籍や理由は違えど、お互いの事情を尊重し、助け合うのが私たちのチームです」という「お互い様」の精神を、経営層や管理職が積極的に発信します。
管理職の率先垂範: 上司が自ら率先して休暇を取得し、「休むことは、良い仕事をするために必要なこと」という雰囲気を作ることが、何よりのメッセージになります。
1on1ミーティングで、休暇予定を「計画」する: 突然の申請で慌てるのではなく、日頃のコミュニケーションの中で休暇の予定をすり合わせます。「今年のどこかで、帰省する予定はありますか?もしあれば、いつ頃がいいか、今のうちから一緒に考えましょう」と、上司から能動的に働きかけることで、突発的な「申請」を、計画的な「イベント」に変えることができます。
こうすれば解決できる!公平・透明な休暇管理制度の作り方
以下の表は、休暇に関するトラブルを防ぎ、誰もが気持ちよく休める職場を作るための制度設計プランです。
課題 | 解決アプローチ | 具体的なルール・施策 | 期待される効果 |
① 休暇申請が急すぎる | 申請ルールの明確化 | ・**「長期休暇申請ルール」**を就業規則等に明記する。 - 申請期限:原則3ヶ月前 - 申請方法:所定の申請書を上長経由で提出 | ・計画的な人員配置と業務調整が可能になる。 ・現場の混乱を未然に防げる。 |
② 繁忙期と重なってしまう | 繁忙期の事前共有 | ・年間カレンダーで、**長期休暇取得の推奨期間と繁忙期間(原則取得不可)**を明示し、全社で共有する。 | ・繁忙期に人員が不足する事態を避けられる。 ・従業員も、休暇計画を立てやすくなる。 |
③ 日本人スタッフから不公平感が出る | 「お互い様」文化の醸成と全社員の休暇取得促進 | ・上長が率先して休暇を取得し、「休むのは当然の権利」という雰囲気を作る。 ・各社員の有給休暇取得状況を管理し、取得率が低い社員には、上長から取得を働きかける。 | ・「あの人だけ」という不満が解消される。 ・全社的なワークライフバランスの向上。 |
④ 申請を断りにくい | 公平な判断基準の確立 | ・申請が重複した場合の優先順位をルール化する。(例:申請順、前回の取得時期などを考慮) ・ルールに基づいて、客観的な事実(人員状況など)を理由に判断する。 | ・上司が個人的な感情で判断している、という誤解を防げる。 ・判断理由に納得感が得られやすい。 |
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