【リファレンスチェックの壁】海外の経歴について、信頼できる裏付けが取れない…
- takeshi kawamoto
- 7月9日
- 読了時間: 4分
「こんな困りごとありますよね。候補者の職務経歴書には、海外の有名ホテルでの華々しい経歴が記載されている。しかし、それが真実なのか、前職でどのような評価を得ていたのかを客観的に確認する術がない。採用後のミスマッチを恐れながらも、候補者の自己申告を信じるしかない状況に不安を感じる。」
その不安、非常によく分かります。特に海外での経歴は、物理的な距離や言語の壁から事実確認が難しく、採用における大きなリスクとなり得ます。この課題を解決する有効な手段が**「リファレンスチェック」**です。これは単なる「身元調査」や「嘘発見器」ではありません。候補者を多角的に理解し、入社後の活躍をサポートするための情報を得るための、建設的なプロセスと捉えることが成功の鍵です。適切な手順を踏めば、採用の確度を格段に高めることができます。
効果的な解決方法
効果的かつ倫理的なリファレンスチェックを行うには、**「①候補者の同意」「②適切な推薦者」「③的確な質問」**の3つの要素が不可欠です。
必ず候補者から同意を得る: 最も重要なポイントです。無断で前職に問い合わせることは、個人情報保護の観点から絶対に行ってはいけません。リファレンスチェックの目的を丁寧に説明し、書面で同意を得るプロセスを踏むことで、候補者との信頼関係も深まります。
推薦者を戦略的に選ぶ: 基本的には候補者本人から推薦者(元上司や同僚など)を提示してもらいますが、「当時のあなたを最もよく知る、直属の上司だった方にお願いできますか?」など、関係性を具体的に指定することが有効です。
質問を標準化する: 何を聞きたいのかを事前に明確にし、質問リストを作成しておきましょう。「良い人でしたか?」といった漠然とした質問ではなく、「彼の最大の強みは何ですか?」「チームでのコミュニケーションスタイルは?」「改善が必要な点はありましたか?」など、具体的な行動やスキルに関する質問を用意します。
外部サービスの活用も視野に: 言語の壁や時差、文化的なニュアンスの違いなど、自社での実施が難しい場合は、海外対応可能なリファレンスチェック代行サービスを利用するのも賢明な選択です。客観性と専門性を担保できます。
こうすれば解決できる!セルフリファレンスチェックの進め方
以下の表は、自社でリファレンスチェックを実施する際の具体的なステップと注意点をまとめたものです。
ステップ | 実施内容 | ポイント・注意点 |
STEP 1事前準備 | ・リファレンスチェックの目的(何を確認したいか)を明確にする。 ・確認したい項目に基づき、質問リストを作成する。(勤務期間、役職、実績、強み・弱み、退職理由など) | ・評価基準がブレないよう、全候補者で同じ質問リストを使用する。 ・オープンクエスチョン(5W1H)とクローズドクエスチョン(Yes/No)をバランス良く用意する。 |
STEP 2候補者への同意取得 | ・候補者に対し、リファレンスチェックの目的、流れ、確認内容を丁寧に説明する。 ・必ず書面で同意書を取得する。 ・候補者に推薦者(2名程度が理想)を選定してもらい、連絡先を共有してもらう。 | ・「選考プロセスの一環です」と正直に伝える。 ・同意が得られない場合は、その理由を尋ねることも一つの判断材料になる。 ・推薦者の役職や候補者との関係性を必ず確認する。 |
STEP 3推薦者への依頼 | ・メール等で、自己紹介とリファレンスチェックの目的を伝え、協力を依頼する。 ・電話またはオンラインでの面談を打診し、候補者の都合の良い時間を複数提示する。 ・事前に質問項目の概要を送付しておくと、スムーズに進む。 | ・高圧的な依頼にならないよう、丁寧な文面を心がける。 ・候補者のプライバシーに関わる情報であることを伝え、守秘義務をお願いする。 |
STEP 4ヒアリング実施 | ・冒頭で改めて目的を伝え、感謝を述べる。 ・作成した質問リストに基づき、ヒアリングを行う。 ・事実(Fact)と意見(Opinion)を区別しながら、客観的な情報を引き出すよう努める。 ・重要な内容はメモを取り、記録に残す。 | ・所要時間は30分程度を目安にする。 ・単なる質問応答ではなく、会話形式で深掘りしていく。 ・文化的な背景を考慮し、表現を慎重に解釈する。 |
STEP 5レポート作成と評価 | ・ヒアリングで得た情報をレポートとして整理する。 ・候補者の自己評価や面接での発言と、リファレンス情報を照らし合わせる。 ・得られた情報を基に、最終的な採用判断を行う。 | ・リファレンスチェックの情報だけで合否を決めない。あくまで判断材料の一つと位置づける。 ・ポジティブな情報だけでなく、懸念点も入社後の育成計画に活かす視点を持つ。 |
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