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【バックヤードの会話】母国語での会話が増え、他のスタッフが疎外感を感じている…

「こんな困りごとありますよね。休憩室やバックヤードで、特定の国籍のスタッフが集まって母国語で楽しそうに話している。その輪に入れない日本人スタッフや他の国籍のスタッフは、何を話しているのか全く分からず、疎外感を覚えてしまう。もしかしたら、自分たちの悪口でも言われているのではないかと、あらぬ疑心暗鬼に陥ることも…。注意したいけれど、母国語を話すことを頭ごなしに禁止するのも違う気がして、どう対応すべきか悩む。」

この問題は、非常にデリケートでありながら、チームワークを蝕む深刻な要因になり得ます。まず理解すべきは、彼らが母国語を話すのは、決して誰かを排除しようという悪意からではない、ということです。母国語は、最も楽に、深く、そして安心してコミュニケーションが取れる「心の安全基地」なのです。だからこそ、一方的な「母国語禁止令」は最悪の解決策です。それは彼らの文化やアイデンティティを否定することに繋がり、修復不可能な溝を生むだけです。解決の鍵は、「禁止」ではなく、**全員が気持ちよく働くための、思いやり溢れる「共通のルール」**を皆で作り上げ、共有することにあります。


効果的な解決方法


疎外感と不信感の芽を摘み、チームとしての一体感を醸成するには、以下のステップが有効です。

  1. 「なぜ母国語を話すのか」を理解する(共感の醸成): まずは、日本人社員側がその理由を理解することが大切です。母国語を話すのは、①思考が楽で疲れない ②微妙な感情やユーモアが伝わる ③仲間との繋がりを感じて安心する、といったごく自然な心理からです。この背景を理解するだけで、日本人社員の「自分たちだけ仲間外れにされている」という被害者意識は、「異国の地で頑張っている彼らにとって、母国語は大切な拠り所なのだな」という共感に変わります。

  2. 「禁止」ではなく「共通言語」のルールを作る: 目指すべきは、母国語の完全な禁止ではありません。「いつ、どの言語で話すか」の線引きを明確にすることです。

    • 【ゴールデン・ルール】:「一人でも、その場の会話が分からないメンバーがいる公の場では、全員が分かる共通言語(日本語など)を話す努力をする」

    • これをチームの基本ルールとして設定します。「公の場」とは、業務中のフロアやバックヤード、複数人で過ごす休憩時間などを指します。

    • 逆に、同郷の2人きりで話す時や、プライベートな電話など、他者を疎外しない場面で母国語を使うことまで制限する必要はありません。

  3. ルールを作る目的を丁寧に説明する: 新しいルールを導入する際は、その目的を全員に説明する場を設けます。「誰かの母国語を禁止したいわけでは断じてない。これは、チームの誰一人として、寂しい気持ちや疎外感を抱かせないための、全員で取り組む思いやりのルールなんだ」というポジティブなメッセージとして伝えましょう。一方的な押し付けではなく、チームの一体感を高めるための共同作業であることを強調します。


こうすれば解決できる!職場の言語ルール策定ガイド


以下の表は、一方的な禁止ではなく、建設的な対話を通じてチームに共通の言語ルールを浸透させるためのステップです。

ステップ

具体的なアクション

伝える時のポイント・言葉がけ例

STEP 1目的の共有と共感の醸成

・ミーティングの場で、今回のテーマについて話し合う。・まず「母国語は皆さんにとって大切なものですよね」と肯定から入る。・次に「一方で、言葉が分からず、少し寂しい思いをしている仲間がいることも事実です」と問題を提起する。

「これは誰が悪いという話ではありません。どうすれば、ここにいる全員がもっと気持ちよく働けるチームになれるか、今日は皆で一緒に考えたいと思います。」

STEP 2ルールの提案と合意形成

・「そこで、一つ提案です。**『業務中や、複数人でいる時は、皆が分かる日本語で話すように心がける』というのはどうでしょうか?」と具体的なルール案を提示する。・このルールについて、全員の意見を聞く。

「もちろん、難しい話や急いでいる時は母国語が出ることもあると思います。それはお互い様です。あくまで『心がける』という、思いやりのルールにしたいのです。」

STEP 3ルールの明文化と周知

・決定したルールを、日本語と各国の言語に翻訳し、バックヤードや休憩室など、目につく場所に掲示する。・新入社員の研修時にも、このルールを必ず説明する。

(掲示物の文言例)【〇〇ホテル チームの約束】**一人の仲間も疎外しないために。みんながいる場所では、みんなが分かる言葉で話そう!Let's speak in a language everyone can understand, so no one feels left out!

STEP 4ルールの定着化

・ルールを忘れて母国語で話している場面を見かけたら、マネージャーが穏やかに、かつ前向きに声をかける。・日本人社員も、積極的に外国人社員の輪に入り、日本語で話しかける努力をする。

「〇〇さん、盛り上がっているところごめんね!楽しそうだから、ぜひ日本語でも内容を教えてくれないかな?私も仲間に入れてほしいな!」


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