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【これって違法?】外国人材に任せられる業務範囲の法律的な線引きが曖昧…

「こんな困りごとありますよね。人手不足の現場から『少しだけベッドメイクを手伝ってほしい』と頼まれた。でも、この社員の在留資格は『技術・人文知識・国際業務』。単純労働はダメと聞くけど、一体どの程度までなら許されるのか…?明確な線引きが分からず、知らないうちに法律違反(不法就労助長罪)になっていないか、日々不安を感じる。」

その不安は、企業のリスク管理担当として極めて健全な感覚です。「知らなかった」では済まされないのが、この業務範囲のルールです。もし、許可された範囲外の業務に従事させてしまうと、**従業員本人だけでなく、企業側も「不法就労助長罪」という重い罪(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金など)**に問われる可能性があります。大切な社員と会社を守るため、在留資格ごとの「OKライン」と「NGライン」を正しく理解し、現場任せにしない管理体制を構築することが不可欠です。


効果的な解決方法


コンプライアンス違反のリスクを回避する鍵は、在留資格の本質である「主たる活動」を理解することです。なぜその在留資格が許可されたのか、その根本に立ち返って考えます。

  1. 「技術・人文知識・国際業務(技人国)」はデスクワークが基本: この資格の「主たる活動」は、大学等で学んだ専門知識や母国の文化を活かすことです。ホテルの場合、フロント、予約、通訳、広報、企画などが該当します。客室清掃や皿洗いといった現場業務(単純労働)「のみ」に従事させることは明確な違反です。ただし、研修の一環として短期間(例:1ヶ月程度)経験させることや、本来の専門業務に付随して一時的に手伝うことは、合理的な範囲で認められる場合があります。このグレーゾーンの判断に迷ったら、必ず専門家(行政書士など)に相談しましょう。

  2. 「特定技能(宿泊)」は現場のスペシャリスト: この資格は、宿泊業の現場業務を担うために創設されました。したがって、フロントや接客はもちろん、**技人国では原則NGだった客室清掃やレストランでの配膳なども「主たる活動」として堂々と任せられます。**現場のあらゆる業務を担える、非常に心強い存在です。

  3. 人事が「最後の砦」になる文化を: 現場のマネージャーは、目の前の人手不足を解消しようと、安易な業務指示を出してしまうことがあります。その際に、人事担当者が「〇〇さんの在留資格では、その業務は法律上できません」と明確に伝えられる「防波堤」としての役割を果たすことが重要です。そのためにも、採用時に業務範囲を本人と現場責任者にしっかり説明し、定期的に面談などで実態を確認する仕組みを作りましょう。


こうすれば解決できる!ホテル業務別 OK/NG 早見表


以下の表は、ホテルでよくある業務シーンごとに、在留資格別の可否を判断する目安です。日々の業務で迷った際にご活用ください。

具体的な業務シーン

技術・人文知識・国際業務(技人国)

特定技能1号(宿泊)

資格外活動許可(留学生アルバイト)

① フロントでのチェックイン/アウト、予約管理

◎ 可能(本来の専門業務)

◎ 可能(認められた業務範囲)

◎ 可能(時間制限内で)

② 客室のベッドメイキング・清掃「のみ」を終日行う

× 不可(単純労働にあたり、主たる活動から逸脱)

◎ 可能(本来の業務)

◎ 可能(時間制限内で)

③ レストランでの配膳・片付け「のみ」を終日行う

× 不可(同上)

◎ 可能(本来の業務)

◎ 可能(時間制限内で)

④ 海外顧客向けにSNSで情報発信する

◎ 可能(語学力を活かす専門業務)

◎ 可能(広報活動として認められる)

◎ 可能(時間制限内で)

⑤ 新入社員研修として1ヶ月間、各現場業務を体験する

△ 可能 (※要説明)研修計画書を作成し、あくまで専門職としてのキャリアの一環であることを説明できるようにしておく必要あり。

◎ 可能(OJTの一環)

 (対象外)

⑥ 繁忙期に2時間だけ、レストランの皿洗いを手伝う

△ グレーゾーン (※原則NG)緊急避難的で、かつごく稀なケースであれば黙認される可能性もあるが、常態化は不可。リスクが高い行為。

◎ 可能(本来の業務)

◎ 可能(時間制限内で)

⑦ 風俗営業法で定められたエリアでの業務

× 不可

× 不可

× 不可(法律で禁止)


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