【お客様からのクレーム】接客時の微妙なニュアンスが伝わらず、クレームに繋がってしまう…
- takeshi kawamoto
- 7月9日
- 読了時間: 4分
「こんな困りごとありますよね。外国人スタッフは研修で習った通り、丁寧な言葉遣いで対応しているはず。それなのに、お客様から『マニュアル通りの対応で冷たい』『なんだその言い方は』といったクレームを受けてしまう。良かれと思ってした対応が裏目に出て、本人も落ち込んでしまい、一体どう指導すればいいのか分からなくなる。」
この問題の根源は、「正しい日本語」と、相手を思いやる「心地よい日本語」との間にある、深い溝にあります。日本語能力が高いスタッフでさえ、日本人が無意識に会話の潤滑油として使っている「クッション言葉」の重要性を知らないケースがほとんどです。例えば、お客様の要望に対して「できません」と事実を正確に伝える。これは間違いではありません。しかし、日本の「おもてなし」においては、不正解に近い。この微妙なニュアンスの欠如が、意図せずお客様を不快にさせ、クレームへと発展してしまうのです。
効果的な解決方法
知識としての日本語から、心を通わせるための日本語へとスキルアップさせるには、座学だけでなく、体感的なトレーニングが不可欠です。
「クッション言葉」の魔法を教える: なぜクッション言葉が必要なのか、その役割から丁寧に教えます。「『できません』と伝える前に、『あいにくですが』『大変申し訳ございませんが』という一言を添えるだけで、相手の受け取り方が劇的に柔らかくなる。これは、あなたを守るための鎧でもあるんだよ」と、その効果と重要性を伝えましょう。
徹底的なロールプレイング研修: これが最も効果的なトレーニングです。知識として知っているだけでは、咄嗟の場面で言葉は出てきません。
リアルな場面設定: 「満室でご予約をお断りする」「お客様のお名前を呼び間違えて謝罪する」「禁煙室でタバコの匂いがすると言われる」など、ホテルで実際に起こりうる、答えにくい場面を複数用意します。
見て学ぶ: まず、上司や先輩がお手本として「悪い例(ロボット的対応)」と「良い例(心が伝わる対応)」を実演します。その違いを視覚的に見せることで、声のトーン、表情、お辞儀の角度といった非言語コミュニケーションの重要性も伝わります。
やってみて、褒めて、修正する: 次にスタッフにやってもらい、その場で具体的にフィードバックします。「今の『申し訳ございません』という言葉、気持ちがこもっていて素晴らしかったよ。次は、その前にお客様のお話に『さようでございますか』と共感の一言を加えてみようか」と、できた点を承認しつつ、改善点を具体的に示すことが成長を促します。
「おもてなし」の背景にある文化を伝える: 「なぜ、ここまで回りくどい言い方をするのか?」という疑問に答えることも大切です。単なるルールとして教えるのではなく、「相手に恥をかかせない、不快な思いをさせないという、日本の『和』を重んじる文化が背景にあるんだ」と伝えることで、より深いレベルでの理解に繋がります。
こうすれば解決できる!脱・ロボット接客 言い換えドリル
以下の表は、クレームに繋がりがちな直訳的で無機質な対応を、おもてなしの心が伝わる配慮表現へと変換するための言い換えドリルです。
よくある場面 | ロボット的対応(NG例) | 心が伝わる対応(OK例) | ポイント(どんな配慮・機能があるか) |
① お客様の要望を断る時 | 「できません。」 | 「大変申し訳ございません。あいにくですが、そのご要望にはお応えいたしかねます。」 | 【クッション言葉+丁寧な否定】いきなり否定せず、まず謝罪の気持ちを伝えることで、相手の感情的な反発を和らげる。 |
② お客様をお待たせする時 | 「待ってください。」 | 「**恐れ入りますが、**ただいま確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」 | 【クッション言葉+依頼形】命令形を避け、「〜いただけますか」と相手にお伺いを立てる形で、敬意を示す。 |
③ お客様に何かをお願いする時 | 「ここに名前を書いてください。」 | 「お手数をおかけしますが、こちらにご署名をいただけますでしょうか。」 | 【クッション言葉+尊敬語】相手に手間をかけることへの気遣いを示しつつ、「書く」を「ご署名」という尊敬語に変換する。 |
④ 自分のミスを謝罪する時 | 「すみません。」 | 「この度は私の不手際で、大変申し訳ございませんでした。」 | 【具体的な謝罪】何に対して謝っているのかを明確にし、最大限の謝意を伝えることで、誠実さが伝わる。 |
⑤ お客様の言うことが聞き取れなかった時 | 「え? 何ですか?」 | 「申し訳ございません。もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか。」 | 【丁寧な聞き返し】自分の聞き取り能力不足として謝罪の形をとることで、相手に「発音が悪い」と感じさせない配慮。 |
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