「給料から何が引かれてるの?」税金と社会保険、外国人社員への説明義務と方法
- takeshi kawamoto
- 7月18日
- 読了時間: 2分
① このようなことで困ったことはありませんか?
「給与明細を見て『聞いていた給料よりずっと少ない』と不満を言われた」「社会保険への加入を渋られたり、なぜ税金を払う必要があるのかと質問されたりして、説明に窮した」。このような経験はありませんか。給与や社会保険に関する認識のズレは、外国人社員の会社に対する不信感に直結します。特に、母国に送金している社員にとって、手取り額は死活問題であり、このコミュニケーション不足が深刻なトラブルに発展することもあります 。
② このような事が原因かも?
この問題の根本原因は、日本の複雑な給与体系と社会保障制度、そしてそれに関する説明不足にあります。多くの国では、給与は「手取り額(Net)」で交渉するのが一般的ですが、日本では「総支給額(Gross)」で提示されます。そのため、所得税や住民税、社会保険料が天引きされることを知らない外国人社員は、「約束が違う」と感じてしまいます 。また、厚生年金についても、将来日本に住み続けるか分からないのに、なぜ高額な保険料を払うのか疑問に思うのは当然です。「脱退一時金」という帰国時に一部が還付される制度があることなど、彼らにとって重要な情報が十分に伝わっていないケースがほとんどです 。
③ その解決方法とは
解決策は、雇用契約時と入社時の徹底した情報提供に尽きます。まず、雇用契約を結ぶ際に、総支給額だけでなく、税金や社会保険料が引かれた後の「手取り額の概算」を必ず提示しましょう。給与明細の各項目(基本給、手当、控除など)についても、母国語または「やさしい日本語」で書かれた説明資料を用意し、一つひとつ丁寧に説明することが不可欠です 。特に、健康保険や厚生年金に加入するメリット(病気や怪我の際の医療費負担軽減、将来の年金受給権、脱退一時金制度など)を具体的に伝えることで、制度への理解と納得感が得られます。これは、企業が果たすべき重要な労務管理上の一環です。
④ 原因と解決策のまとめ
原因 | 解決策 |
1. 「総支給額」と「手取り額」の違いを理解していない | 1. 雇用契約時に、手取り額のシミュレーションを提示し説明する |
2. 給与明細の控除項目(税金・社会保険料)の意味が分からない | 2. 給与明細の各項目を多言語で解説した資料を用意する |
3. 社会保険(特に年金)に加入するメリットを感じられない | 3. 健康保険の利点や、年金の「脱退一時金」制度について具体的に説明する |
4. 会社が一方的に天引きしていると誤解している | 4. 税金や社会保険料が法律に基づく義務であることを明確に伝える |
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