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「同一労働同一賃金」は外国人にも適用?知っておくべき法的義務

① このようなことで困ったことはありませんか?

「外国人だから、給料は日本人より少し低くても仕方ない」「研修期間中は、最低賃金ぎりぎりでも問題ないだろう」。もし、このような考えが少しでも頭をよぎったなら、それは非常に危険なサインです。国籍を理由とした賃金差別は、法律で固く禁じられており、企業の存続に関わる重大なコンプライアンス違反につながる可能性があります。


② このような事が原因かも?

「同一労働同一賃金」は、正規雇用・非正規雇用間の不合理な待遇差をなくすためのルールですが、その根本にある「均等待遇」の原則は、国籍にも当然適用されます。労働基準法第3条では、「国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と明確に定められています 。この法的知識が不足していると、悪意なくとも、結果的に差別的な賃金設定をしてしまうリスクがあります。また、技能実習生などを「安価な労働力」と捉える誤った認識が、賃金不払いや最低賃金違反といった、より悪質な問題を引き起こす温床となっています 。


③ その解決方法とは

企業が遵守すべきことは、ただ一つ。「同じ仕事をしているならば、国籍に関わらず、同じ賃金を支払う」ことです。これを徹底するためには、まず職務内容や責任の範囲、必要なスキルなどを客観的に評価する「職務評価」の仕組みを導入することが有効です。これにより、誰がその仕事についても、同じ基準で賃金が決定されるという公平性を担保できます。また、給与テーブルや昇給ルールを明確に定め、全社員に公開することで、賃金決定プロセスの透明性を高めることも重要です。労務管理の担当者は、労働基準法の基本原則を再確認し、自社の賃金体系に差別的な要素がないか、定期的に点検する義務があります。


④ 原因と解決策のまとめ

原因

解決策

1. 国籍を理由に賃金差を設けることが法律違反であるという認識不足

1. 労働基準法第3条(均等待遇)の原則を、経営層・管理職が正しく理解する

2. 外国人材を「安価な労働力」と捉える誤った認識

2. 職務内容や責任に基づいて賃金を決定する「職務評価」の仕組みを導入する

3. 賃金決定のプロセスが不透明で、恣意的な判断が入りやすい

3. 給与テーブルや昇給・賞与の査定基準を明確化し、全社員に公開する

4. 技能実習生などに対して、最低賃金を下回る賃金を支払っている

4. 国籍や在留資格に関わらず、すべての労働者に最低賃金法を遵守する


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