技術・人文知識・国際業務の在留資格と外食産業における適用可否
- takeshi kawamoto
- 4月7日
- 読了時間: 3分
更新日:7月8日
1. 技術・人文知識・国際業務のビザの性質と単純労働NGの観点
技術・人文知識・国際業務(以下、「技人国」)の在留資格は、日本の企業などで専門的・技術的な業務に従事する外国人を対象としています。この在留資格が許可されるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。
学歴または実務経験: 大学・専門学校で学んだ専門知識が業務と関連していること、または一定の実務経験があること。
業務内容: 単純労働ではなく、専門性を有する業務であること。
企業の受け入れ体制: 外国人が適切に業務を遂行できる環境が整っていること。
外食産業における「接客」や「調理」などの業務は、一般的に単純労働とみなされるため、技人国の在留資格の対象とはなりません。そのため、原則として外食産業での就労は認められません。
2. 例外的に認められるケース
しかし、以下のようなケースでは技人国の在留資格が認められることがあります。
(1) 店舗管理業務に従事する場合
店舗の運営・管理を担当し、売上管理、従業員のシフト調整、マーケティング戦略の策定などの業務に携わる場合、専門性が認められることがあります。この際、単なる店舗スタッフではなく、管理職としての役割が求められます。
(2) インバウンド需要に伴い、常時通訳が必要な場合の接客業務
訪日外国人客が多い店舗において、外国語を使用した通訳・案内業務が必要不可欠な場合、特定の語学スキルを活かした業務と認められることがあります。ただし、単なる接客ではなく、専門的な通訳業務が含まれていることが重要です。
(3) 外国人アルバイトのマネジメント業務
店舗に多くの外国人アルバイトが勤務しており、彼らの教育や指導、業務管理を行う役割が求められる場合、管理業務として認められるケースがあります。特に、多国籍なスタッフを抱える企業では、この業務が技人国に該当すると判断されることがあります。
3. 雇用における注意点
技人国の在留資格で外国人を雇用する際、以下の点に注意が必要です。
(1) 事業規模と業務の常態性
企業側の要件として、その業務が常態的に必要であり、単発的な業務ではないことが重要です。例えば、小規模な飲食店では管理業務の必要性が低いと判断される可能性があるため、大手チェーンや外国人観光客が多い店舗での申請が通りやすい傾向があります。
(2) 業務内容と学歴の関連性
雇用する外国人の学歴と業務内容の関連性が求められます。例えば、経営学を専攻していた外国人が店舗の管理業務に従事する場合は認められる可能性が高いですが、調理を学んだ者が単なる接客業務を行う場合は認められにくいです。
(3) 特定技能との線引き
2019年に創設された「特定技能」の在留資格は、外食業務に特化したカテゴリーが設けられています。そのため、入管庁としても「外食業務なら特定技能で申請するべき」という方針を強めており、技人国での申請を行う際は、特定技能との明確な違いを示す必要があります。
まとめ
技人国の在留資格は、原則として外食産業での単純労働には適用されません。しかし、
店舗管理業務
通訳を伴う接客業務
外国人アルバイトのマネジメント
といった専門的・管理的な業務の場合には認められる可能性があります。
申請時には、企業の事業規模や業務の常態性、外国人の学歴との関連性を慎重に確認し、適切な在留資格の取得を目指すことが重要です。
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