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【第2回】ハローワークの外国人雇用調査、ココも見られている!安全衛生・社会保険・生活支援のチェックポイント

前回は、ハローワークによる外国人雇用ヒアリング調査が、入管庁とも連携した非常に重要なものであること、そして「雇用状況の届出」「採用ルート」「労働条件」といった基本項目で、いかに会社の姿勢が問われるかをお伝えしました。

第2回となる今回は、さらに一歩踏み込み、**「従業員を雇用する上で当たり前の義務」だからこそ、その質と配慮が厳しくチェックされる「④安全衛生」「⑤社会保険」「⑥人事管理・生活支援」**の3項目を徹底解説します。

これらの項目は、会社が外国人労働者を単なる労働力ではなく、大切な一人の従業員として向き合っているかを示す試金石です。しっかりと準備を進めましょう。


チェック項目④:外国人労働者の「安全と健康」を確保していますか?


労働者の安全と健康を守ることは、国籍を問わず事業主の責務です。しかし、言葉や文化の壁がある外国人労働者に対しては、特に手厚い配慮が求められます。

  • なぜチェックされるのか? 言語の不理解が、労働災害に直結するリスクを孕んでいるためです。ハローワークは、労働安全衛生法上の基本的な義務(健康診断、ストレスチェック等)が遵守されているかに加え、「外国人労働者に内容がきちんと伝わる工夫をしているか」を見ています。

  • 確認されるポイント

    • 労働災害(労災)の発生状況と、その後の対応

    • 従業員への健康診断、ストレスチェックの実施状況

    • 雇入れ時や作業内容変更時の「安全衛生教育」の実施

  • こう答えられれば万全! ただ「やっています」と答えるだけでは不十分です。 「安全教育は、イラストや写真の多い資料を使っています」 「危険な作業については、母国語のわかる先輩社員に通訳をしてもらい、本人が理解できるまで説明しています」 「工場内の危険箇所には、ピクトグラム(絵文字)付きの多言語表示をしています」 といった、**「伝わるための具体的な工夫」**をアピールできれば、非常に良い印象を与えられます。


チェック項目⑤:社会保険に「全員」加入していますか?


社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)への加入は、法律で定められた事業主の絶対的な義務です。ここでのチェックは非常に厳格です。

  • 調査の目的は? 外国人労働者であるという理由で、不当に社会保険への加入を逃れていないかを確認することが目的です。一切の例外は認められません。

  • 何を準備すべきか?

    • 社会保険の加入手続きがわかる書類(資格取得確認通知書など)

    • 全従業員の加入状況がわかる一覧表

「本人が手取りが減るのを嫌がったから」「短期のアルバPイトだから」といった理由は一切通用しません。加入要件を満たす従業員は、国籍にかかわらず全員、例外なく加入させる義務があることを肝に銘じ、調査日までに加入漏れがないか徹底的に確認してください。


チェック項目⑥:人事管理・生活支援は万全ですか?(最重要項目!)


この項目は、今回の調査の中でも特に多岐にわたり、深く質問される可能性が高い最重要パートです。なぜなら、外国人労働者が日本で安心して働き、定着・活躍するためには、会社による手厚いサポートが不可欠だからです。ここでの受け答えで、会社の「外国人雇用に対する本気度」が測られていると言っても過言ではありません。

  • 確認される多岐にわたるポイント

    • コミュニケーション支援:業務上の指示や重要な連絡をどうしていますか?(例:通訳担当者の有無、翻訳ツールの活用、掲示物の多言語化など)

    • 生活支援:市役所での住民登録、銀行口座の開設、携帯電話の契約といった行政・金融手続きを、誰がどのようにサポートしていますか?

    • 公正な人事評価:日本人従業員と同じ評価制度を適用していますか?評価シートやキャリアパスは、本人が理解できる言語で明示されていますか?

    • キャリアパスの明示:この会社で働き続けることで、どのようなスキルが身につき、どのように昇進・昇給できるのか、将来の道筋を示していますか?

  • 特定技能社員がいる場合は、さらに深掘り! 特定技能社員がいる場合、法律で定められた支援義務があるため、質問はさらに具体的になります。

    • 支援責任者、支援担当者は誰ですか?(氏名を聞かれます)

    • どのような支援計画を立て、どのように実行していますか?(支援実施の記録を見せる準備も)

    • 入国時や帰国時の空港への送迎は、誰が責任をもって行いましたか?

これらの質問に、よどみなく具体的に答えられるようにしておくことが極めて重要です。「担当者がサポートしています」という曖昧な答えではなく、「入社時に、私(人事部長の〇〇)が市役所に同行し、住民登録とマイナンバーカードの申請をサポートしました」というレベルで、誰が・何を・どのように行っているかを明確に説明できるように準備しましょう。


まとめ:問われているのは「当たり前」を実践する会社の姿勢


第2回で取り上げた3つの項目は、一見すると「やっていて当たり前」のことばかりです。

  1. 安全衛生:ただやるだけでなく、「伝わる工夫」まで見られている!

  2. 社会保険:加入は絶対義務。「全員加入」を再確認!

  3. 人事・生活支援:会社の姿勢が問われる最重要項目。具体的かつ手厚いサポート体制をアピール!

しかし、その「当たり前」を、言語や文化の異なる外国人労働者に対して、いかに真摯に、そして具体的に実践できているか。ハローワークは、そこを鋭く見ています。

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